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サイバー攻撃渦中のニコニコがAWSのイベントで講演 動画の配信基盤について解説、観客から拍手の一幕も

ITmedia NEWS / 2024年6月25日 7時55分

サイバー攻撃渦中のニコニコがAWSのイベントで講演 動画の配信基盤について解説、観客から拍手の一幕も

 サイバー攻撃を受け、6月8日以降サービスを縮小中のニコニコ。実は、AWSの技術展示イベント「AWS Summit Japan」(幕張メッセ、6月20日~21日)での講演が障害発生前から決まっていた。

 同様の講演イベントにおいては、登壇企業に大規模なインシデントや不祥事が発覚した場合、講演を急きょ取りやめるケースが少なからず見られる。しかしドワンゴは予定通りの内容で講演を実施。イベントを主催したAWSジャパンも、その様子を来場者向けにオンデマンド配信している。

 ドワンゴが登壇したのは21日のセッション。「より良い視聴体験を求めて、ニコニコ動画の配信基盤刷新の舞台裏」と題し、ニコニコ動画の配信基盤を刷新した背景について、同社の久保田陽介さん(ニコニコサービス本部 DMS開発部 第一セクション マネージャー)が語った。なお、主題となるニコニコ動画の配信基盤は14日の発表でも明かされている通り、サイバー攻撃の被害を免れている。

 久保田さんは講演の冒頭で「報道などでご存じの方も多いと思いますが、現在ニコニコは大規模なサイバー攻撃の影響により、多くのサービスが利用できない状態が続いています。ユーザー・関係者の皆さまには、ご不便をおかけしており、心からおわび申し上げます」とサイバー攻撃について触れた。

 観客からは拍手があり、久保田さんは「ありがとうございます。少しでも早い復旧に向け、全社を挙げて取り組んでいますので、今しばらくお待ちください」と感謝の意を述べ、講演を続けた。

●動画・生放送の相乗りが足かせに 基盤刷新に至ったワケ

 久保田さんは、基盤の刷新に至った背景や、新しい基盤の構成について講演。ニコニコ動画では2016年から約8年間オンプレミスの配信基盤を利用していたが、24年3月に新たなクラウド基盤に乗り換えた。性能は安定していたものの、設計思想に由来するいくつかの課題があったという。

 そもそも旧基盤は、ニコニコ動画とニコニコ生放送で共用する仕組みだった。どちらも動画ファイルの形式が共通している他、動画はストレージへの負担が、生放送はCPUへの負担が大きい特徴があり、共通基盤内でリソースを使い分ければ効率的な運用が可能になると考えての設計だったという。

 しかし実際は狙い通りにいかず、複雑さに由来するメンテナンスのしにくさが残った。さらに、完全にオンプレミスで運用していたことからスケーラビリティ(サーバ規模の拡縮しやすさ)に欠き、突発的なアクセス増に対応できないなどの問題もあった。

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