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サイバー攻撃渦中のニコニコがAWSのイベントで講演 動画の配信基盤について解説、観客から拍手の一幕も

ITmedia NEWS / 2024年6月25日 7時55分

 そこで新基盤では、動画と生放送の配信システムを分離。動画部分を単純化の上AWS化した。例えばストレージには「Amazon S3」を、CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク、複数の別サーバがサーバ本体に代わってコンテンツを配信する技術)に「CloudFront」を採用した。

基盤刷新の成果 リソース削減やUX改善も

 基盤乗り換えの結果、旧基盤では1万以上使っていた仮想コアの数を約300まで削減するなど、リソース削減を実現できたという。さらにコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」の導入によりスケーラビリティを確保した他、運用も簡便化。コストの削減にもつながった。

 基盤の刷新により、ユーザー体験の改善も可能に。かつてニコニコ動画には、負荷削減のために混雑時間帯のみ無料会員の画質を制限する「エコノミータイム」が存在したが、基盤刷新によりこれを撤廃できたという。同様に、30分以上の動画は低画質でした投稿できない制限も撤廃した。

コスト試算などに不安も ニコニコの対策

 ただし移行やその準備段階では懸念点もいくつかあった。例えばコスト試算だ。旧基盤のデータを基にAWSの支援を受けながら計測していたが、オンプレミスとクラウドで勝手が異なるため「不安を感じながらの作業だった」(久保田さん)という。ただ、事後に試算と実情を比較したところ、コストがかかる項目を100以上に細分化して計測したことが奏功し、結局は97%程度の精度で予測できていたという。

 懸念点は他にもあった。実は、今回の刷新は担当チームにとって初めての“クラウドネイティブ”(クラウドの利用を前提としたシステム)な開発、初めてのKubernetes運用、初めてのGo言語による本格的な開発と、“初めて尽くし”なプロジェクトで、技術的なキャッチアップと設計・開発が同時進行だったという。そのため社内での勉強会やメンバー間での情報共有会などを積極的に実施し、理解促進に努めたとしている。

 久保田さんによれば、基盤の刷新は移行で終了ではなく、今後もコストの最適化などを機能追加を進める方針。生配信用の基盤を刷新するプロジェクトも進めているという。

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