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求められ続ける成長にさよなら とあるスタートアップが“値上げなし”でやっていけるカラクリ

ITmedia NEWS / 2024年7月22日 11時42分

 「日本の法人数は200万から300万といわれています。より多くの人に使っていただきたいと思うと、まだまだ1桁、2桁の成長の余地があります」と横井氏は市場の可能性を語る。

●VCからの資金調達を避け、ブートストラップ型で成長

 ただ、気になるのは値上げしない方針の持続性だ。若いスタートアップであれば、資金調達元であるベンチャーキャピタルからの突き上げがあり、結局値上げに走る──というシナリオも考えられる。しかし、invoxは少々事情が違う。

 実はinvoxは、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達を避け、自己資金で成長を続ける「ブートストラップ型」のスタートアップでもある。「誰かから無限に成長を求められるビジネスはやっていて面白くないんです」と横井代表。

 そもそも横井代表は過去に2社の創業に関わり、1社は上場、もう1社はM&Aを経験している人物。「上場すると、永遠に目に見えない株主から無限に成長を求められ続けて、成長、株価、株主を見て仕事をしなきゃいけない。M&Aされると、気持ち的にサラリーマンになって、親会社からも設定された目標を達成するみたいな仕事になってしまって。どちらも楽しくないという感覚がありました」

 こうした経験から、横井代表は3社目となるinvoxでは異なるアプローチを選択した。「今回は、思う存分好きな自社開発を自分で目標を設定してやりたい」と横井氏は当時を振り返る。

 創業時の開発費用は横井代表の自己資金で賄われた。「以前の会社を上場した時のキャピタルゲインが少しあったので、それを初期費用にしました」という。さらに、横井さんの志に賛同したエンジニアも手を貸した。「前から一緒にやってくれているエンジニアが何人かいるので、手弁当で手伝ってもらって土日で開発しました。初年度は600万円ぐらいで結構な開発をしました」

 この選択は、経営の自由度を高めることにつながった。例えば継続的に行っている寄付だ。「処理した請求書1枚につき1円の寄付を1件目からやっています」と横井代表は語る。「もしVCから資金調達したら、なんか『俺が渡した金で寄付してんのかよ』って話になっちゃう」

 ブートストラップ型の成長を選択した結果、invoxは2023年夏に黒字化を達成した。「サービス開始が2020年の3月で、3年間で黒字化できました」と横井代表は胸を張る。

●社会貢献と事業の両立を目指す「大人のスタートアップ」掲げる

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