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一部でスタートした「給与デジタル払い」、一体誰に向けたサービスなのか

ITmedia NEWS / 2024年8月28日 10時41分

 制度解禁からサービス提供開始までに1年以上を要したが、バーチャル口座のスキームや専用の保証サービスの開発、振込部分の作り込み、基幹システム事業者との連携の他、給与を受け取る口座とそれ以外の口座を分類する必要があるなど、厚生労働省のガイドラインに沿った細かな要件への対応含め、開発範囲が広かったためとしている。

●誰が利用するのか

 では、ユーザー視点では誰が利用するのだろうか。給与デジタル払いでは当初、銀行口座を持っていない従業員に給与の振込ができる点などがメリットとして語られていたが、PayPay給与受取については、20万円を超えた分を振り込む銀行口座の登録が必須になっている。つまり、何かしらの金融機関の口座をすでに持っている従業員しかPayPay給与受取を利用できない。

 となると、「銀行口座からPayPayアカウントにチャージするのと変わらないのでは」という声も出てくるだろう。オートチャージ機能もあるので、残高が足りなくなったら登録口座から自動でチャージすることもできる。

 そこで、PayPayがアピールするのが週払いへの対応や、“サブ口座”としての利用だ。即日払いであったり週払いのへのニーズが徐々に増えている一方で、給与振込時の手数料は企業からすると少なくない負担になっている。月に何度も振り込みとなると手数料だけでバカにならない。

 PayPay給与受取でもバーチャル口座への振り込みは手数料が発生するものの、PayPay銀行の法人口座→従業員のPayPay銀行口座への振込に関しては無制限で手数料ゼロをうたう。そこからPayPay給与受取アカウントに自動でチャージされるため、従業員からニーズが高まっている「支払いの柔軟化」に使ってもらおうということのようだ。これに加え、最近はスポットワークや副業も増えており、第2、第3の給与受取口座として使ってもらうことも想定している。

 ユーザーへの利便性は週払いだけではない。給与受取アカウントに入金された残高は、移動操作なしでPayPay証券のつみたて投資に回すことができる他、おこづかいや生活費など、毎月1回、指定した金額を指定日に自動で送金する「おまかせ振り分け」機能なども利用できる。送金や関連サービスを使ってもらう時に障壁となる「煩雑な操作」を全て自動化できる点もメリットとしてアピールする。

 これを便利だと思うユーザーにとってはPayPay給与受取は使いやすいサービスだろう。PayPay執行役員の柳瀬将良氏は対象ユーザーについて、パート・アルバイト向けだけでなく、正社員含め老若男女使ってもらえると語る。先行導入しているソフトバンクグループ10社では、数は非開示なものの想定以上の社員からPayPay給与受取への申し込みがあった他、すでに「3桁の企業数」(柳瀬氏)から問い合わせが入っているという。

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