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“推し”への距離感を間違える「推しすぎ問題」を分析 健全な推し方とは? BTSやVTuberの事例から考える

ITmedia NEWS / 2024年9月2日 8時5分

 さらに、Bが注意しても「反抗期なんだね、私がいないとダメなんだから」と言い放つファンもいた。これらの行動に対し、Bは最終的に「お前が好きなのは脳内でつくりあげた都合のいい理想のおれか? 日々色んなゲームをして楽しんでいるおれか?」と苦言を呈し、ファンに適切な距離感を保つよう訴えた。この事例は、ファンの理想や期待が度を越すと、推しの活動そのものを脅かす可能性があることを如実に示している。

●「少し休みたいと考えることすら悪いことなのでは」 BTSの事例

 最後に、世界的に人気のK-POPグループ「BTS」の事例を取り上げる。13年のデビュー以来、BTSは立て続けに記録を打ち立て、世界的な成功を収めてきた。しかし、22年6月、BTSはグループとしての一時活動休止を発表した。

 この決定の背景には、成功がもたらした複雑な問題があった。メンバーのRMは活動休止の理由を説明する中で、グループのアイデンティティーの喪失感や、韓国の芸能ビジネスがアーティストに突きつける厳しい要求について言及し「K-popマシーン」と呼ばれる韓国の芸能界のシステムに対する懸念を表明。絶え間ない創作と活動の要求がアーティストに与える負担の大きさを指摘した。

 BTSのメンバーたちは、ファンからの期待に応え続けることの難しさも吐露した。「少し休みたいと考えることすら悪いことなのではないかと思うようになった」という発言は、ファンの期待が彼らに与える心理的プレッシャーの大きさを物語っている。

 この状況は、アーティストとファンの関係性の難しさを浮き彫りにしている。ファンの支持や期待は、アーティストの成功には不可欠だが、それが度を越すと、アーティストの創造性や精神的健康を脅かす要因となりうる。

 BTSの事例は、世界的な成功を収めたアーティストであっても、あるいはそれゆえに、ファンの期待と自身のアイデンティティーの間でバランスを取ることの困難さを示している。

●ファンの“健全な推し方”とは?

 健全な推し方を考える上で、まず重要なのは推しとファン双方の自己決定権の尊重である。推しには自らの活動スタンスやファンとの関係性を決定する権利があり、これにはファンの要望に応えるか否かの判断も含まれる。同様に、ファンにも自身の推し方を決定する権利がある。

 しかし、この自由は無制限ではなく「他者危害原則」が重要な指針となる。この原則は、他人に危害を及ぼさない限りにおいて自由に行動できるというものだ。つまり、ファンの行動が推しや他のファン、さらには社会に害を及ぼさない範囲内であれば許容されるが、それを超えた場合は健全な推し活ではないということになる。

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