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電動キックボードが海外で相次ぎ規制強化 一方日本には米大手が参入 何が起きているのか

ITmedia NEWS / 2024年9月30日 12時14分

 規制強化後は、自転車と電動アシスト自転車には認められている一般車道の通行も行えなくなるなど、電動キックボードに対して厳しいルールが課されているようにも思えます。

●メルボルン市(オーストラリア)

 オーストラリアのメルボルン市では、2022年2月から実証実験として「Lime」と、「Neuron」の2社の電動キックボードを官民連携のもと導入しました。導入時点でのルールは、自転車レーン、低速道路、多用途道路が走行可能。歩道については走行不可です。

 導入にあたって、同市のサリー・キャップ市長(当時)は「メルボルン市は、LimeとNeuronとの提携により、多くの観光客を誘致し、人々が迅速かつ安全に移動できるようになるでしょう」と歓迎するコメントを出しています。

 しかし、2023年末に発行されたニュージーランドの医学論文誌「ANZ Journal of Surgery」によると、2022年1月~2023年1月の期間中に、メルボルン市における電動キックボード・電動スクーターが関連する人身事故は256件が記録され、その内訳は247人が運転手、歩行者が9人でした。

 負傷者者の年齢の中央値は29.5歳、飲酒していた人の割合は34%、ヘルメット着用は33%でした。なお、レポートでは飲酒およびヘルメット着用については負傷者本人の申告に基づいた集計のため、実際よりも飲酒率は低く、ヘルメット着用率は高く報告されている可能性がある、と指摘しています。

 レポートによると、月別で最も負傷者数が多いのは12月で、その多くは金曜日(46件)、土曜日(44件)、日曜日(49件)に発生しており、これらの週末は飲酒運転による事故の割合も高かったとされています。飲酒運転による事故の発生割合が高かったことと、週末に事故が多かったことは密接に関連があると思われます。

 試験導入後に事故が多発した経緯もあり、メルボルン市における電動キックボードの導入は2024年8月に契約の打ち切りが発表され、メルボルンはLimeとNeuronの2社に対して30日以内に電動キックボードを市内から撤去するように求めています。当初予定していた契約期間の満了を待たずに契約打ち切りとなった背景には、多くの事故が発生したことや、事故にならずとも交通ルールを守らない走行、無秩序な返却などの問題が発生していたことがうかがえます。

 メルボルン市議会が契約を打ち切る決議をする際に、2024年7月から新たに市長に就任したニコラス・リース氏は、「恥ずべきことだが、電動キックボードの法律に従わない人は、実際にルールを守っている人よりもはるかに多い。メルボルン市のように人口密度が高い都市では、平均に100万人に近い人々が中心街でキックボードを乗り回している。ヘルメットを着用せずに歩道を二人乗りで走行することは、市にとって許容できないリスクである」と、電動キックボードによる影響を率直に説明しています。

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