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電動キックボードが海外で相次ぎ規制強化 一方日本には米大手が参入 何が起きているのか

ITmedia NEWS / 2024年9月30日 12時14分

●パリ市(フランス)

 2024年に夏季オリンピック・パラリンピックが開催されるパリでは、2018年から電動キックボードのシェアリングサービスがスタートしていましたが、2023年4月に実施された住民投票によって、電動キックボードのシェアリングサービスを禁止することを発表しました。パリ市が提携していた、Dott、Lime、Tierの3社の電動キックボードは合計で1万5000台が投入されていたとされています。

 約138万人の有権者を対象にした投票では、約10万人が投票に参加し、そのうち約9割が電動キックボードのレンタル禁止に賛成するという、圧倒的な差によって電動キックボードのレンタルを禁止する民意が明らかになり、2023年8月31日をもって同市における電動キックボードのシェアリングサービスは終了しています。ただし、同様の動きが他の欧州の都市でも立て続けに起きているかと言えば、今のところそうではありませんし、パリ市でも私有の電動キックボードの所持・走行については認められています。

●日本国内における課題

 こうした海外の事例を見るに、電動キックボードなどのマイクロモビリティによって引き起こされる課題は、どの都市や国でも概ね似通っています。つまり、ルールを守らない利用者による社会的な影響が看過できないほど大きくなると、その結果規制が強化され、場合によってはシェアサービスの全面禁止に至っています。

 さて、冒頭でご紹介の通り、日本国内では2023年7月1日の法改正によって、これまでよりも気軽に電動キックボードに乗れる環境が整っていますが、一方で「電動キックボードや自転車が走行しやすい空間が限られている」という、大きな課題は解決されていません。この課題は、特に交通量の多い都市部で顕著ではないでしょうか。

 筆者は自転車に乗って移動する機会が多いのですが、車道上に「自転車専用」と明記されている自転車専用通行帯でさえ、路上駐車の自動車やバイクによって安全に走行できないケースが多々ある一方、駐車している自動車が取締りの対象となっているシーンは見かけたことがありません。一方で、シェアサイクルでも所有型の自転車でも、歩車分離式の信号で車道を走行する自転車が、車道側の信号を無視して横断歩道上の歩行者を避けて走行するシーンは毎日のように見かけます。

 また、「Luup」をはじめとする電動キックボードが赤信号を無視して横断したり、車道モードのまま歩道を走行したりすることは毎日頻繁に見かける一方、法律に従って歩道走行時に歩道モードにして走行している例は、これまでに数えるほどしか見かけていません。メルボルン市の新市長が言うように「法律に従わない人が、従う人よりもずっと多い」というのは、残念ながら日本国内でも同じように感じています。

 運転者自身が交通マナーやルールを守って運転する必要がある、というのは大前提ですが、電動キックボード、自転車など、運転免許が不要で乗れるけど原則として車道を走るカテゴリーの車両が安全に走行しやすい空間の整備も、今後の重要な交通課題として取り組んでほしいものです。

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