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校外PC利用が先進国でビリでも「日本はよくやっている」と思う理由 GIGAスクールの次のステップ

ITmedia NEWS / 2024年10月17日 15時7分

 これによれば、0歳から12歳までで最も多く利用するデジタル機器はスマートテレビであり、年齢が上がるにつれて家庭用ゲーム機が上がってくる。スマートフォンは利用低年齢化が懸念されてきたところだが、12歳で58.5%へ到達というのは、体感的には納得できる数字だ。またPCが全年齢で不調なのは予想通りである。

 家庭でPCが利用できないのは、環境が整っていないということもあるが、そもそも子どもが欲しがらないからということが大きいのではないか。それは家庭用ゲーム機の普及率との違いを見れば明らかだ。

●「うまくいっているシステムはさわらない」の原則

 米国で子どものPC利用が盛んなのは、ゲーム機として使われているからという視点は無視できない。米国ゲーム市場の中心はPCであり、子どもが欲しがる。これは日本の家庭用ゲーム機に匹敵するパイがある。ハリウッド映画に出てくるキッズハッカーはだいたいPCゲームオタクだが、あれは米国にはよくいるタイプなのである。

 では日本でもああいう子たちを増やしていくべきなんですかね? と言われれば、それは違うだろう。筆者はインターネットユーザー協会代表理事としてICT教育の旗振りをしてきたものの1人ではあるが、それはICTが扱える者と扱えない者との格差が拡がる事を懸念したからだ。

 だが誰もがICTが扱えるようになったら、その次に目を向けるべきタイミングである。アプリケーションやネットサービスの開発はPCが有利だろうが、それを全員がやる必要はない。作物を育てたり、家を建てたり、教育をしたり、都市に公園を作ったりすることは、15歳からPCを家で触ってたこととは関係ない。

 これは日本が、1964年という早い時期にOECDに加盟し、いわゆる「先進国クラブ」への仲間入りを果たした、成熟した国家であるというところと関係がある。国家が成熟すると、「あり得ないこと」は起こりにくくなり、新しい発明や発見の余地が小さくなる。

 90年代のバブル崩壊以降、日本にずっと閉塞感があるのは、社会システムが成熟してしまったからだ。だがその社会システムでは、いよいよ立ちゆかなくなってきたのが今である。

 次に起こるのは、「広義の編集」だ。ゼロから何かを産むのではなく、これまでの既存システムをいったんバラして組み替えたり、システムとシステムを思ってもみない方法でつないだりして、新しい価値を創造する行為である。

 それは、必ずしもIT上で起こるとは限らない。社会を変える、社会を動かすとはすなわち、すごい人とすごい人を出会わせたり、ものすごい人数を集めてきたりといった、人を動かして事(こと)を起こすことであり、ある意味で「コミュニケーションのオバケ」みたいな人材が大量に必要になるタイミングが来る。そういう人が生まれてくるスキも作っておかなければならない。

 子ども達に家庭でもPCを使わせろという人達もでてくるだろうが、筆者の技術者としての経験からすれば、「うまくいっているシステムはさわらない」ことをお勧めする。日本の教育は、失敗していなかった。いじるなら、うまく行かなくなった兆候が見えてからだ。しばらくは日本の教育者に任せて、様子をみようではないか。

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