「トランプ政権復活」で、どうなるテック業界 日本含めた影響を予測する
ITmedia NEWS / 2024年11月8日 13時24分
半導体という意味では、トランプ氏は補助金政策に批判的だ。
現在米国政府の支援によってTSMCやインテルが半導体工場を建設中だが、トランプ氏は「政府の支出からではなく関税によって政策を進めるべきだ」と主張している。
「米国国内に生産と雇用を」という意味で、半導体工場自体を米国に作ることはトランプ氏の方針にもかなうし、関税問題との関係も整理できる。だが費用の出元が変わるのなら、規模や速度感に変化が出てくる可能性は否めない。関税問題とセットで、半導体流通がどうなっていくかも注目しておく必要がある。
移民政策もテック業界に大きく影響する。
ビックテックの強さの一端は、世界中から優秀な人材を集められることにある。
ただ2017年からの第一次トランプ政権では、技術者向けのビザ発給要件が厳格化され、一時大きな問題となった。そのままコロナ禍に突入し、入国制限が始まったことで混乱はそのまま継続された。
バイデン政権下でもビザ発給数上限に大きな変化はなかったが、AI分野の技術者に対するビザ要件緩和が示され、さらに、手続きの合理化を進める方針が示されている。
トランプ氏は「高度な技術者は歓迎」としているものの、ビザ発給要件がバイデン政権と同じ「緩和方向」とは考えづらい。
このことは結果的に、米国国外にいる高度な人材が「米国以外を選ぶ」1つの理由になる可能性が高い。
●生成AIは「規制」から「自由」へ
生成AIに関する方針も大きく変わる。
特にAI関連については、中国の台頭を防ぐためにさまざまな施策が行われることになるだろう。
バイデン政権下では生成AIの法規制について、国際協調的かつ、一定の法的な枠組みを用意して臨む方針だった。それを象徴しているのが、2023年10月末に署名した「安全で信頼できるAIの開発と使用に関する大統領令」だ。
だが、トランプ氏はこの大統領令について「過度な規制である」と批判しており、撤回を公約として掲げた。撤回、もしくは大幅な修正が入ることは間違いないとみられる。
生成AI規制についてはEUが厳しい立場で臨んでおり、一定のハードロー(強制力を持つ法的な枠組み)による規制が各国で進むという流れだったが、トランプ氏の考えは異なる。より軽微な規制にとどめ、自由な開発を促す方向になるだろう。
規制の方向が弱まることはAIプラットフォーマーには基本的に有利な条件であり、それは米国の利益にもつながる話ともいえる。
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