1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

「なぜ人は貯金できないのか」──40億円調達のスマートバンクが仕掛ける“家計改善”の全体像

ITmedia NEWS / 2024年11月12日 15時43分

●銀行になりたい? 今後のあるべき姿

 B/43はユーザーのお金を預かることで、AIによる分析から実際の支出管理までを実現できる。ただしこれはあくまでプリカを通じた支出に限ったものだ。現金や引き落とし、振込などの支出まで管理できるわけではない。その先を考えたとき、自然と行き着くのは銀行サービスになるだろう。

 実際、業界最大手の家計簿管理サービスを提供するマネーフォワードは7月、三井住友カードと資本業務提携を発表。銀行機能を備えた家計簿サービスへの進化を目指している。

 スマートバンクの堀井CEOも「完成形は銀行」と認める。口座間での資金移動や、デジタル給与の受け取りなど、お金を預かる機能をより強化できれば、家計管理の可能性は広がる。しかし、同社はあえて銀行免許の取得は目指さない。「銀行になれば制約も多い。むしろ、さまざまな金融関連の免許を組み合わせながら、銀行に近い機能を実現していく」という。

 実際、銀行の機能は個別の金融ライセンスである程度代替できる。お金を預かり、決済を行う機能は、前払式支払手段や資金移動業の免許で、制約はあるものの実現可能だ。Fivotが運営するプリカサービスIDAREのように、前払式支払手段で利息のようにポイントを付与するサービスも登場している。給与受け取りについても、資金移動業者による「デジタル給与払い」の制度が始まり、すでにPayPayが参入した。

 このように、銀行免許を持たなくても、複数の金融ライセンスを組み合わせることで、銀行の主要機能それぞれを実現することが可能だ。むしろ銀行よりも柔軟なサービス設計ができる可能性もある。スマートバンクは、この戦略で銀行に迫る機能を実現しながら、独自の家計管理サービスを追求していく構えだ。

●資産形成支援へ将来展開

 この先、スマートバンクが描く将来像は、お金を預かる仕組みとAIを組み合わせた、新しい金融プラットフォームの構築だ。その展開は3段階で進む。

 まず、AIを使ってファイナンシャルプランナー(FP)の代替を目指す。これまでFPに相談して作っていたライフプランを、AIが個人の状況に応じて提案する。複数の金融ライセンスを持つ同社ならではの機能として、提案したプランを実際の資金移動で実現することも視野に入れる。

 次に「AI貯金アシスタント」を展開する。一定額を貯金に回す単純な仕組みではない。AIが収支パターンを分析し、その月の状況に応じて最適な貯蓄額を自動的に振り分ける。お金を預かれる強みを生かし、提案を確実に実行に移せる点が特徴になるという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください