“博物館の照明”を充電式にした理由は? ミネベアミツミ「サリオピコ ポータブル」の新コンセプト
ITmedia NEWS / 2024年11月30日 10時20分
どのような形でユーザーに受け入れられるかも分からない状態で、見切り発車のように発売した製品ではあったけれど、市場には好意的に迎えられて、販売は好調。実際、太陽の下で見るような色でモノを見ることができるRa97(高演色性)の光をデスクライトに使うという発想の製品は、その後もほとんどない。
その実力は、この連載の「机の上を美術館にしてしまうデスクライト「SALIOT pico」が演出する自然光の意外な効用」に詳しいので、そちらを参照してほしい。
最初の製品の好評を受けて作られたのが、支柱を短くした2灯タイプと1灯タイプ。「実は、このコンパクト版を作るのには反対だったんですよ。なんだか安易に思えてしまって。長いレールで、高さやライトの数を変えられるという形で完成していたから。モジュールになっているというのがポイントだと思っていたんです。でも、単品で家電として見た時、モジュールより、こういう1灯なら1灯、2灯なら2灯のサイズになっている方が製品としての完成度は高いんですよ。その辺、頭が固かったですね。反省しています」と上野さん。
デスクライトがモジュールになっているというアイデア自体はとても秀逸だし、だからこそ最初の「サリオピコ」も売れたのだと思う。モジュール式にすることで、品番数を減らすこともできて、メーカーとしても扱いやすい製品になった。
しかし、この1灯タイプは私も使っているのだけど、これがとても可愛いのだ。これはもう完全に家電だったので、この連載では取り上げず、別の媒体でグッズ紹介記事を書いたのだが、その記事を読んだ年配の方にかなり売れたらしい。こういう、光自体の質が良くて、コンパクトなデスクライトは、それはそれで需要があるのだろう。
そして、このサイズの製品が出たことで、充電式のコードレスタイプの開発が現実的になった。
コンパクトタイプを充電式にするのなら、台座の問題の解決も難しくないのではないかと考えた上野さんは、さっそく開発を進めていく。なるべく同じサイズにしたいということと、バッテリーの持ち時間のバランスを考えてバッテリーを選定した。
「フル充電で、2灯をフルに光らせた場合で約1時間半、1灯だと3時間の連続使用ができます。サイズは、ほぼ同じですが、厳密には高さが4mm高くなっています。バッテリーの交換は、一応ユーザーさんでもできるのですが、廃棄の方法などは別途、説明書を付けます。3灯にすると、バッテリーの持ち時間が短くなり過ぎるので、今回は2灯タイプまでとしました。実際、バッテリーの技術の進歩にも助けられた部分はあります。5年前だと、この製品はできていなかったと思います」
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