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これはもうSF映画の世界 ソニーが開発した360度ぐるっと眺められる3Dディスプレイが未来だった

ITmedia NEWS / 2024年12月13日 15時7分

 かなりの高速リフレッシュレートに驚くが、ブースの担当者によると、これはDLP素子ならではの高速応答性能を生かしたものという。これはもともと階調表現に使うためのもので、ライトフィールドディスプレイでは、この応答性能を階調描写ではなく3D映像の書き換えに利用したわけだ。そのため、投影している3D映像の階調性能は本来よりも劣るという。

 映像の出力に使っていたのは米NVIDIAのGeforceRTXを搭載していたノートPC。360度分のバーチャルカメラを扱うためリアルタイム処理はかなりの高負荷になるようだが、デモではプリレンダリングした状態でプロジェクターに映像を渡すことで、ノートPCでも処理できる負荷に抑えてあった。

 それぞれの角度で映像を出し分けられるので、例えば3Dオブジェクトは360度自由に、文字やロゴなどの2D要素は常に正面を向くよう制御することも可能だ。デモでは、バーチャルカメラが撮影するサッカー選手のユニフォームを角度ごとに変えて出力し、見る角度によってユニフォームの色が変化するようになっていた。

 360度分の2D映像が用意できれば投影できる映像に制限はない。例えば、ボリュメトリックキャプチャした人物を投影したり、「Scaniverse」などの3Dスキャンアプリで作成した3Dモデルを映し出すこともできるという。ここは未確認だが、360度分の映像を用意できるのであれば実写を投影することも可能かもしれない。

●「等身大ディスプレイ」に期待したいが……

 ここまで自由に3D映像を見れるということは、人間を等身大で投影できるぐらいのサイズが実現すればより未来っぽいな、と思うところ。ブースの担当者も「もっと大きなサイズがあれば……というお話は結構いただく」という。ただし、そこに立ちはだかるのがHOEスクリーンの製造難易度。

 ソニーはHOEスクリーンの製造装置から独自に開発している。研究レベルであれば採算度外視でより大きなものも作れるというが、現状のサイズでもコストは「3桁万円」とのことで、製造面やコスト面から今の大きさになったという。スクリーンが大きくなるとプロジェクターのさらなる高輝度化、高速回転するスクリーンの安定性なども考慮する必要が出てくるので、この辺のバランスも鑑みたのだろう。

 円筒形のライトフィールドディスプレイだが、実は同じスクリーンを使った「2D版」が5年前に登場している。ソニーがSIGGRAPH 2019で紹介したもので、当時は毎秒1000フレームで撮像できる高速カメラ(センサーはIMX382)を使い、視聴者の位置を360度シームレスにリアルタイムトラッキングすることで、円筒内に映し出された2D映像がどこから見ても常に正面を向くように制御していた。今回のディスプレイは、これを発展させたものという。

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