AIが連携して動く「四季報AI Ver2」の実力は? 株式市場の“旬な話題”について聞いてみた
ITmedia NEWS / 2024年12月28日 12時35分
カナダ在住の米倉氏はビデオ会議で参加
2023年10月にサービスを始めた東洋経済新報社の「四季報AI」が、初めての大幅なアップデートを行い、「四季報AI Version2.0」(以下、Ver2)となりました。使用するAIエージェントの数が実に50倍に増え、会社四季報が持っている株価情報の探索から一歩踏み込んだ投資判断のアドバイスまで行えるようになったといいます。なお、会社四季報オンラインの「プレミアムプラン」(月額5500円)の機能として提供している点は変わりません。
そもそも四季報AIは、東洋経済新報社が過去80年分の企業データとAIを組み合わせるという野心的な取り組みでした。それまでは生のデータを売るだけだった会社四季報の新規事業的試みであったわけです。同社がデータを提供し、業種に特化した専門文書AIの企画開発などを手がけるメタリアル(東京都千代田区)が技術を提供するという形で始まったプロジェクトは、Ver1のリリースから約1年で大きな進化を遂げました。
では、AIエージェントの数を50倍に増やした、とはどういうことでしょうか。Ver1では「ChatGPT 3.5」のみを使用していましたが、Ver2では複数のAIを組み合わせて利用する「メタリアルAI LLM2」が使われています。つまり、メタリアルAI LLM2が対応している生成AIの中で、グラフ作成が得意なClaude、データ分析が得意なLLMなど、それぞれの特性を生かした使い分けを行うのです。
「複数のAIを使うことで、ハルシネーション(誤情報生成)も減らせることが分かっていました」とメタリアル・グループの米倉豪志CTOは説明します。ただし、完全になくすことは難しく「そこばかり気にして調整すると、AIの創造性が減ってしまう」とのこと。
また、参照元を明示させることでハルシネーションが抑えられることも分かっており、Ver2では、そういった工夫が積み上げられています。これが可能になったのもAI同士がコミュニケーションをしているからです。
実際に体験してみました。
例えばある企業について質問すると、回答に加えて関連する追加の質問まで自動的に提案してくれます。しかも、生成された文章や図表が織り交ぜられた分かりやすい文書となっていました。
特筆すべきは、単なる財務データの検索だけでなく「どの会社に自社製品を提案すればいいか」といったビジネス判断にも活用できる可能性が出てきている点です。そして、そういった可能性が出てきたのも、Ver2では四季報データ以外に企業の公開情報も参照しているからです。
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