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通話でもメッセージでもない「テキスト通話アプリ」が若者にウケる理由 「ジフシー」が開いた“隙間”

ITmedia NEWS / 2025年1月31日 9時5分

 だがJiffcyの登場で、これまでリアルタイム・コミュニケーションであった音声、ビデオ通話に、テキストが加わった事になる。

 Jiffcyが注意深く設計されている部分は、「リアルタイムのコンセンサス」だ。通話と同様の音と通知で相手方に知らせ、これからリアルタイムで時間をとるが大丈夫か、というコンセンサスを得る仕様になっている。いったんメッセージに降りるとリアルタイム性を失い、再びテキスト通話に戻るにはもう一度通話モードにしなければならないのは、リアルタイム性の再確認のためだと考えられる。

 テキストによるリアルタイムチャットの存在は、1990年代のパソコン通信にさかのぼる。複数人がリアルタイム専用の会議室に入り、テキストで会話するのである。この魅力は他にはないもので、いわゆる掲示板には一切書き込まないが、リアルタイムチャットにだけ来るというユーザーも居たほどである。

 スマホ時代に登場した3分以内返信みたいな勝手ルールが生まれた背景には、当時の子供達にもテキストによってリアルタイムでつながりたいという欲求は存在したわけで、ある意味パソコン通信のリアルタイムチャットを再発明したともいえる。Jiffcyはそうした欲求を、ちゃんとしたレギュレーションを整えてかなえたツールだといえる。

 ただ現在Jiffcyは、複数人でチャットできる機能はなくなり、1対1のみとなっている。話が錯綜する混沌としたテキストチャットというのは、ニーズがなかったのかもしれない。それよりも、より親密さを感じさせるツールにしたかったという事だろう。

 声を聴きたいというニーズがあるのも事実だ。遠く離ればなれになった恋人達の間では、声を聞くのは必須だろう。一方で、若い人は音声の通話をあまり利用しない。それほどリアルタイムで相手を捕まえなければならない喫緊の用事もないということもあるだろうが、リアルで会えば話は間が持つものの、顔が見えない状態での通話では間が持たないのだ。従って社会人になってから、電話応対でつまづく新人も多い。

 リアルタイム・コミュニケーションにおいて音声通話が衰退したとするならば、それに変わるものが必要になる。Jiffcyの登場でそれがテキストになった、ということであり、これは文字表現の新しい可能性を開いたということになる。

 テキストでは時間がかかりすぎるだろうと思われるかもしれないが、今のiOSは予測変換が優れており、全文を入力しなくてもある程度入力した段階で選択肢から選べばよい。別なことに気が散ってしまうほど間延びするわけでもなく、次の話題を考える程度の時間が稼げる程度のスピード感が、今のZ世代にはちょうどいいということなのだろう。

 この仕組みがビジネスツールに入ったら、と思わなくもない。MetaのMessengerでは、相手が入力中の場合は「入力中」との表示が出るようになっている。だが相手の書き込みを待っていてもいつまでも返事が返ってこない、なにやってんだ、と思うことも多い。相手が入力中の文章が分かれば、ちゃんとやってんなとか、ここでつまづいてるんかということが分かるはずだ。

 スピード感と集中力が求められるテキストベースの打ち合わせというのも一度経験してみたいところではあるが、ビジネスマンの多くは「それならしゃべった方が早い」と思う人のほうが多いかもしれない。

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