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「マウスカーソルが最短時間で行ける領域はどれ?」──25年大学入試「情報I」の“不可解な問題”をLINEヤフーが考察

ITmedia NEWS / 2025年2月5日 8時5分

 第3の疑問は、マウスの移動方向によって影響はないのかという疑問である。人間工学的には左右方向への移動が最も容易で、前後方向が最も困難であり、斜め方向はその中間という傾向がある。しかし、その差は最大でも約50ミリ秒(60Hzディスプレイで約3フレーム)程度と小さく、問題の解答に重大な影響を与えるものではないことを示している。

 第4の疑問は、画面の「端」と「隅」の違いについてである。問題では「カーソルはディスプレイの端で止まるため」と説明されており、「端」と「隅」にターゲットがある場合で移動時間が変わるのではないかという疑問である。

 先行研究によれば、「端」に配置されたターゲットは確かにカーソルの移動方向に対して無限大のサイズを持つものの、完全な弾道的動作は難しく、位置調整が必要となる。一方、「隅」に配置されたターゲットは、カーソルが逸脱することなく確実に選択できる。実験結果からも、「隅」に設置したターゲットの方が、移動時間とミスクリック率が有意に小さいことを確認している。

 このように、フィッツの法則や弾道的ポインティングに関する専門的知識を持つ人にとって、いくつかの解釈の余地がある点は存在する。しかし、問題文で与えられた情報のみに基づけば公式の正解は妥当であり、また先行研究の知見を踏まえても、ターゲット2が最短時間でクリックできるという結論を支持する根拠が多いことが示されている。

 Source and Image Credits: 山中 祥太. 実質的に無限大サイズを持つターゲットのポインティング: 2025年大学入学共通テスト「情報 I」問題の一考察

 ※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2

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