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3年間毎月15万円を、無条件に支給──サム・アルトマンが関わるベーシックインカム実験 結果は?

ITmedia NEWS / 2025年2月10日 8時5分

3年間毎月15万円を、無条件に支給──サム・アルトマンが関わるベーシックインカム実験 結果は?

研究チーム「OpenResearch」がベーシックインカムに関する社会実験の結果を公開

 OpenAIのサム・アルトマンCEOが取締役を務める研究チーム「OpenResearch」が、ベーシックインカムに関する社会実験の結果を公開している。この研究は、米国における無条件の現金給付に関する包括的な実地調査であり、受給者の生活実態や行動変化を多角的に分析したものである。

 米国の低所得成人1000人への毎月1000ドルの現金給付が、個人の意思決定や生活の質にどのような影響を及ぼすかを、政治的態度、自己決定能力、健康、雇用、支出の5つの主要な観点から検証している。対照群として、2000人に毎月50ドルを支給し、これらを3年間続けた。結果は次に示す通りである。

 政治的態度と行動への影響については、投票行動や政治的選好に大きな変化は見られなかった。しかし、仕事に対する認識において変化が観察でき、個人や社会にとっての仕事の重要性、さらには政府プログラムへのアクセスにおける仕事の必要性についての認識が強まった。

 労働時間の減少は見られたものの、これは仕事の価値を軽視したためではなく、むしろ自身のゴールや家族のニーズにより適した雇用を選択できる余地が生まれたことを示している。

 自己決定能力の面では、予算管理や将来計画の立案、教育機会の追求、起業への関心において顕著な向上が見られた。具体的には、教育や職業訓練を受講した確率が対照群と比較して平均14%上昇し、低所得者に関していえば34%と高い上昇をみせた。

 予算管理を実施する確率も5%増加し、財務管理に費やす時間も1カ月当たり約20分多くなった。

 受給者は起業家精神を持つ可能性が高く、対照群と比較して8%上昇した。特筆すべきは、黒人受給者の起業率は対照群と比較して26%上昇し、女性受給者では15%増加した。これらの結果は、現金給付が個人の目標設定と実現に向けた具体的な行動を促進する効果があることを示唆している。

 医療サービスの利用においては、救急医療や外来診療、特に歯科治療や専門医への受診が増加。歯科治療を受ける確率は対照群と比べて10%以上、医療支出は月平均20ドル増加した(健康保険料は含まれていない)。また、日常生活に支障を来すような飲酒が20%減少、処方されていない鎮痛剤を使用する日数が53%減少するなど、健康的な生活習慣への好影響も観察できた。

●他者への経済的支援も増加 “助け合い”を促進か

 雇用状況については、登録時点でCOVID-19の影響があり受給者の失業率が高かったことを踏まえなければならない。登録時の受給者の就業率は58%で、対照群は59%であった。プログラムの最終月には、就業率は受給者で72%、対照群で74%に上昇した。

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