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“適職診断”の「芸術家タイプ」に囚われる若者たち 負の風潮なぜ……? 識者が鳴らす「警鐘」

ねとらぼ / 2024年4月27日 9時0分

 一方で「自分自身の欲求は後回し。まずは他人や義務のために」「人といっしょにいたり、他の人を喜ばせる事が好き」など、他者とのかかわりについて積極的な項目を含む回答を選択すると、「適職」の最上位結果に「ビジネス/接客」という項目が表示される仕組みだった。

 就職活動の窓口となっている就活サイトではどうだろうか。リクナビ、マイナビ、キャリタスの大手就活3サイトは、自分がどのような仕事に向いているかを診断する機能を、それぞれサイト内に設けている。

 しかし、ねとらぼ編集部が大手就活3サイトを運営する各社に取材すると、いずれも「芸術家/アーティストタイプ」という項目がある診断は行っていないという回答が返ってきた。また、リクナビを運営するリクルート、キャリタスを運営するディスコからは、「芸術家/アーティストタイプ」という項目がある診断は、過去にも実施したことがないという回答が得られた。

 多くの人が利用する就活サイトの診断でこうした項目が設けられていないにもかかわらず、なぜ「芸術家タイプ」という言葉が広まっているのだろうか。ねとらぼ編集部は、日本の就職活動の歴史と、就職活動に影響を及ぼすメディアの役割に焦点を当てた『就活メディアは何を伝えてきたのか』(青弓社)の著者で、駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授の山口浩氏に話を聞いた。

 山口氏はSNS上で言及される「芸術家タイプ」の結果が出る診断は、個人の性格を9つに分類する「エニアグラム」をもとにしたものが多いのではないかと推察する。そして、そうした診断の数々は「科学的な根拠が薄く、信頼性が低いもの」だとし、次のように見解を示す。

「そもそも何が『適職』かは自分の性格のみによって決まるものではなく、ましてやちょっとしたテストで自分がある職業に向いていないなどとわかるはずもありません。しかし、多くの就活者(あるいは就職後でさえも)は、自分にどのような職業が向いているのかについて不安を抱えており、それを自分でリスクをとって自ら判断することを負担と感じています。誰かに何かを相談したいときに、(たとえ根拠はなくとも)自信たっぷりに『あなたにはこの職業が向いている』と言ってもらえれば何がしかの安心を得られるでしょう」

●「適切な距離をもって接するべき」

 山口氏は、診断で提示された「自分の弱み」を過大に受け取る人の他、そうした「診断結果」に悩む人たちを揶揄したり、貶めたりするために利用する人がネット上には数多くいると分析する。

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