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「山奥ニート」という現代の遁世 棚園正一さんに聞く“人生の心の保険” 「いろいろな生き方があって良い」

ねとらぼ / 2024年6月29日 12時0分

 本当にありがたい話です。原作を読んだとき、「面白い!! これを漫画にしたい!!」と気持ちが沸き立ったことを覚えています。

 山奥ニートの暮らしぶりも興味深かったのですが、特に山奥に行き着いた人たちのドラマに強く引かれました。それが同じニートであった石井さんならではの視点でつづられているのが新しく感じたんです。淡々とした語り口なのですが、誰も否定しないし、認めるところから始まっているような暖かさを感じました。コミカライズさせてもらえるならば、ぜひとも、その人たちのドラマを中心にしたストーリー漫画にしたい!! そうやって漫画版の形が定まっていきました。

 石井さんの書かれた『「山奥ニート」やってます。』があってこそ、描きたいものが、さらにはっきりして漫画にできたのだと思います。

 コミカライズを任せていただけたことに本当に感謝しています。

 棚園さんは、「山奥ニート」の取材を通じ、次のように話す。

棚園 取材に行ってみると、そこにいる人たちはそれぞれさまざまな事情がありました。夢を持つ人や、自分なりの考えを持つ人もいました。当然のことですが、誰一人として同じような人はいません。

 共通しているとすれば、「現代社会の価値観に少しだけ窮屈さを感じている人たち」。でもそれは特別変わったものではなくて、日々の暮らしで誰もが程度の差はあっても感じているであろう気持ちです。

 「ニート」というネガティブな印象の言葉で一括りにしてしまうと見えにくくなりますが、しっくり来ないことを考え続け、山奥にたどり着いた人たちでした。

 漫画本編の最後に入れたあるせりふには、そのままのあなたでも大丈夫という気持ちを込めました。そこへ行ってみようかなと興味を持つパワーがあるなら、必ず先に道は続いていき、生きていけると。

 ニートを肯定しようとか、ポジティブなイメージにしたいとか、そういう訳ではありません。

 ただ、1つの言葉ではくくれない人たちがいる。それを知ることで見えることがたくさんあることを伝えられたらと思う気持ちが、描き進めるほど強くなり、制作の熱量になりました。

●「良い悪いなんてなくて、全部でひとつの物語」

 「山奥ニート」を主催する石井さんは2024年1月、自身は山奥ニートを辞めることを発表した。子を持つ親となり、ライフステージが変わる中での判断だった。

 折しも、棚園さんも2023年に結婚し、現在は同じく子を持つ親となっている。こうした変化は、「山奥ニート」という生き方に対する考え方に変化をもたらしたのだろうか。

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