1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

華やかな“Copilot+ PC”売り場、でも「それ、Arm版Windowsですよね?」 “分かっている人があえて選ぶPC”が一般層に猛プッシュされている不安

ITmedia PC USER / 2024年6月26日 12時25分

 特に省電力性は圧倒的で、バッテリー駆動で数時間しかもたないイメージが強いPCが、Armであれば実利用でも軽く10時間以上動作するといった状況を期待できる。

 ただし、SoCの設計が従来のIntelやAMDのSoC(いわゆるx86やx64 CPU)と異なるため、ソフトウェア側もArmに対応していないと基本的には動作しない。Microsoftはx86やx64 CPU向けのソフトをArmでも使えるようにする新しいエミュレーター「Prism」をArm版Windowsに搭載しており、多くのソフトウェアが問題なく動作するとしている。

 もちろんMicrosoft謹製のOfficeや、主要なWebブラウザのGoogle Chromeなど、定番的なアプリはArm版が用意されているので快適に動作する。しかし、(Windowsの強みでもある)星の数ほどあるフリーソフトや周辺機器のドライバ、仕事や授業で使うソフトが動くかどうかは実際に起動してみないと分からず、ソフトウェアメーカーが動作確認をしてアナウンスするか、ネット上で誰かが試した情報を探すしかない状況だ。

●実際の販売の現場では

 こうした状況に対して販売の現場はどうなっているか。都内の家電量販店に設置されたPCコーナーで販売員に聞いたところ、「普段からWindowsで使っているソフトをヒアリングし、OfficeやWebブラウザといった用途であればオススメしている」という。動画編集やゲームなど応用的なソフトを使う場合は、Arm版で動作するか、よく確認してから購入することを推奨しているようだ。

 実際に詳しい人に状況を聞きながら購入検討できる実店舗の良さを感じられるが、一方で、ECサイトでは説明が不十分すぎるとも感じている。

 例えば、Surface Pro(第11世代)やSurface Laptop(第7世代)の製品ページを見てみよう。Copilot+ PCならではの特徴や、高いパフォーマンス、バッテリー駆動時間などのメリットが強調されているが、搭載されているWindows 11がArm版であることは記載されておらず、ここまでに紹介したデメリットを消費者が認知できるとは考えにくい。

 Appleが2020年から自社製品に搭載を始めたApple Silicon「Mチップ」もArmベースとなっており、高い省電力性とパフォーマンスの評価は非常に高い。今のところソフトウェアの移行もスムーズに進んでいる。Windows陣営もやっとCopilot+ PCでArmベースに移行し、そうしたメリット(+AIの付加価値も)を製品に反映させたいというのが思惑だろう。

 筆者もArm版Windowsには非常に期待しており、「Windowsでもバッテリー長持ち」「モバイルでも高パフォーマンス!」──そんな時代がもうすぐ到来するとワクワクしている。Copilot+ PCやArm版Windowsを理解している人は「意外と動くじゃん!」という声も聞こえてくる。

 ただ、最近のCopilot+ PCの宣伝を見ていると、もうちょっと説明があってもいいのではないかとも思う。台数を出荷して普及をごり押ししたいのではないかとも勘繰ってしまう(嫌いじゃないが……)。

 移行には“痛み”が伴うものだが、実物を手にしてガッカリする人が生まれないことを祈るばかりだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください