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落合陽一氏が「AIフェスティバル 2024」で語ったデジタルと自然の融合 なぜ「そして神社を作る」なのか

ITmedia PC USER / 2024年11月12日 16時0分

 挙手した人たちが一定数いることを確認した後、「それはみなさんが、自分の中に計算機があると認識しているからこその行動です」と告げた。つまり、メッセンジャーRNAワクチンが体内に入り、ウイルスの情報を免疫機構に伝達し、それによりウイルスが体内に侵入した際にすぐに対処できるようにする、という予防策を取っていることこそ、体が計算をしている、人体の持続が計算の上で成り立っているということを認めていることに他ならないというわけだ。

 そのため落合氏は「自然を計算機とみなす“デジタルネイチャー”の概念は皆さんの中にも根付いている」と解説した。さらに「AIが発達することにより、自然とデジタルの融合は加速するだろう」という考えを述べた。

 その一例として、落合氏の研究室では、大量に飼育しているマダガスカルゴキブリをロボット化(神経系を制御する極小マシンの組み込み)をして、思うようにコントロールするという試みを行っている。「(Googleのスマートフォンである)Pixelが言うことを聞かない場合、それは故障。でもゴキブリなど生き物の場合ならそれはデフォルトである。神経が刺激に慣れてしまうから」とネイティブなデジタルとの違いについて解説する。

 「命令を聞かなくなった個体の代わりに、別の個体が司令を達成するようプログラムしていく。その切り替えや、エラーを出さないような仕組みを素早く作ることが重要になる。生き物が言うことを聞かないのであれば、デジタルネイティブなロボットアームではどうかという考えもあるが、それは故障しても自然治癒しない。なので、自然とデジタルをどのように融合させていくのか、そこを解決するループを早めるのかという試行錯誤がデジタルネイチャーとして、今後は世の中にたくさん出てくると予想している」(落合氏)

●デジタルネイチャーの定式化

 デジタルと自然の融合の一助になっているものとして3Dプリンタを落合氏は挙げた。より精密になり、さまざまな素材を扱えるようになってきていることから、新しい素材や構造を生み出せるようになった。AIが自然物に関与し、融合するようになる。「自然は計算機によって拡張され、拡張された自然は計算機に戻って来る。そのループの高速化が、今世紀は進むだろう」と落合氏は語る。

 このようなデジタルネイチャー系を定式化すると、「3つぐらいしかやることがない」と落合氏は言う。「1つはループを高速化すること、2つ目はループの適応範囲を広げること、最後は自動最適化の範囲を広げること」だ。

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