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朝ドラ「おむすび」脚本・根本ノンジさんインタビュー〈前編〉「自然災害の理不尽さに向き合い、どう立ち上がるかが大きなテーマ」

iza(イザ!) / 2024年9月30日 7時0分

笑いとシリアスは切り離せない

――震災という実際に起こった事実を扱いつつも、社会派的なトーンになりすぎないように物語の中になじませていくのが、脚本家としての根本さんの腕の見せどころでもあると思うのですが、執筆していくなかで感じている難しさや、工夫についてお聞かせください

「全体のトーンとしては明るい物語で、コメディーの場面も多いですが、それだけじゃないというか、人が生きていくなかで経験するリアルなものも織り交ぜて描こうと思っています。笑いの部分と、シリアスな部分は切り離せないというか、全体のトーンの中に災害とか事故も入っている。人生は笑って泣いてということでもあると思うので、なじませるとか描き分けるという感じでもないですね。すべてを含めて、主人公とその家族の人生として描いているという感じです」

栄養士は食がテーマの過去作にない切り口

――結は、今後栄養士になるということですが、ドラマにするうえで他の職業にはない栄養士ならではの面白さはどんなところにありますか?

「わりと早い段階で『食』をテーマにしようと決めたんですが、『ごちそうさん』(13年)など過去の朝ドラに、食をテーマにしたすてきな作品がすでにありますので、今までやったことのないものをどう作るか考えた末に栄養士という仕事にたどり着きました。栄養士さんって、食べ物で人を元気にする職業なんですね。たとえば赤ちゃんの離乳食や病院での食事、学校の給食、高校・大学は学食で、就職したら社食、コンビニやレストラン、さらに年老いて入院して、最後ご飯が食べられなくなった時にもメニューを考えているのは栄養士さん。調べれば調べるほど、食を通して人の人生に一生かかわる仕事なんだということがわかって、きっとドラマになるなと確信しました。また、私の父が食道ガンにかかって胃を切除し、胃ろうにした時に管理栄養士さんが病院ですごく献身的にいろいろやってくださって、亡くなる直前までお世話になったことから、栄養士の物語を書くべきだという思いもありました。そういった切り口が、今までの作品にない特徴と言えるのではないでしょうか」

――「おいしいものを食べたら悲しいことを忘れる」というセリフが第1週で2回登場します。このセリフに込めた思いは?

「自分の作品の中では常に食を大事にしていて、どんなドラマでも頻繁に食べるシーンを出してきました。食べるという行為にキャラクターや人生がにじみ出るので、意図的に出すんですが、おいしいものを食べたら少しは悲しいことも忘れられる。本当に忘れられるわけではないけれど、一瞬だけでも忘れられるということは常に自分の中で思っているので、この作品の大きなテーマにもなっています」

――「監察医 朝顔」も「朝ドラっぽい」という視聴者の声が多い作品だと記憶していまして、今のお話を聞いていて、食事シーンに込めた思いが重なるような気がしました。そういった過去の作品で積み重ねてきたことが朝ドラに生きている点はほかにもありますか?

「漫画原作のあるドラマを多く書いてきましたが、オリジナルで半年という長丁場の作品を書くうえで、今までに書いたドラマのシーンやキャラクターが、いろんな場面で『あの時こうだったじゃん』という感じでめちゃくちゃ背中を押してくれていて。もちろん朝ドラとしてチューニングする部分もあるんですけれども、集大成というにはまだ早いんですが、集大成のように自分の過去のキャラクターたちが背中を押してくれてる感じがして、心強く感じています」(後編へ続く)

※〈後編〉「ギャルは『失われた30年』を肩で風切って歩いていた」は30日正午に掲載します。


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