[岩田太郎]【厳罰化で再発防げず、加害者減らす方策を】~川崎市中1殺害事件 ②~
Japan In-depth / 2015年3月6日 18時0分
「カミソン」こと上村遼太君(享年13)を惨殺した主犯の○○○○容疑者(18)らは、絞首刑に値すると思う。いや、絞首刑では足らない。上村君の苦しみと無念さを償うには、軽すぎる。
だが、現実には、○○容疑者らは死刑どころか、数年で出所する可能性が大きいとされる。誰もが納得できないが、いつか社会復帰するのなら、社会としてどう対応するか、今のうちから考えなければならない。
○○容疑者のオヤジ狩り、バイク窃盗、賽銭泥棒、万引き常習など過去の犯歴から見て、更正はかなり困難だろう。彼は、鑑別所でも更正しなかった。しかも将来、世間からは殺人犯として「クズ」「死ね」などの偏見と敵意を受ける。
しかし、考えてほしい。この青年が出所後、疎外されたことを恨みに思い、より凶悪な犯罪に走らない保証はない。みんなで知恵を絞り、助けてやるしかないのである。放置することも可能だが、誰もが彼の出所後、彼のターゲットになる可能性がある。
少年法改正での厳罰化を望む声は、心情的に理解できる。だが、厳罰化しても上村君は戻ってこないし、第2、第3の○○容疑者が出てくることも防げない。幼い子供を惨殺した宅間守や小林薫が早期死刑になって、彼らのような人間が出てこなくなっただろうか。ネットは、佐世保同級生殺人事件の犯人の15歳少女の父親を自殺に追い込むことに成功したが、19歳の女子大生が名古屋で老女惨殺事件を起こすことを防げなかった。
凶悪犯罪者の死刑は必要だ。だが、少年法の厳罰化などの小手先の対応では、そのような少年少女を生産する家庭や社会の問題の根源を放置することになり、再発を防止できないし、誰も救われない。
再犯防止が一番大事だ。少年法で守られている○○容疑者らの場合、生きて苦しみ、非難と蔑みを受けながら償わせなければならない。彼らは、再犯防止のため、徹底的に取り調べられ、分析され、再発防止のため社会に有益な情報を提供しなければならないのである。
○○容疑者は、上村君の友人たちがどれ程、彼を愛しているかを見て恐れおののき、殺意を抱いた。○○容疑者は、「友人」を暴力でしかつなぎ止められないのに、上村君はその人柄で自然に多くの味方ができた。
上村君は、世の中への信頼、他者への信頼、人生への信頼、そして何より自分への信頼を持っていた。だから、万引きを強要されても、断った。対する○○容疑者は、犯罪を繰り返し、自己肯定感が決定的に欠けていた。上村君は中学1年生に過ぎないのに、18歳の○○容疑者が敵う相手ではなかったのだ。そんな自分に決定的に欠けるものを持つ上村君への憎悪が、あれだけ残忍な殺害方法を選ばせたのだろう。
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