[高田英樹]【2015年度予算に見る財政の現状と課題】~今年度プライマリーバランス「半減目標」達成へ~
Japan In-depth / 2015年3月19日 7時0分
※本稿は個人としての見解であり、筆者の所属する組織の見解を代表するものではありません。
2015年度予算案は、3月13日に衆議院で可決され、現在、参議院で審議されている。予算委員会では政治資金の問題などについての議論も目立つが、予算そのものの中身をしっかりと見ていくことも大切だ。予算を見れば、日本の財政の現状と課題が浮かび上がってくる。
2015年度一般会計予算の歳出総額は96.3兆円と、過去最大となった。歳出総額はほぼ毎年、過去最大を更新し続けている。歳出増加の主な要因は、社会保障費だ。社会保障関係費は、前年度から1兆円増加し、31.5兆円となっている。これは、一般会計歳出全体の約3分の1を占める。
他に大きな歳出の塊として、国債費が23.4兆円ある。これは、過去積みあがってきた国債(借金)の償還費と利払費だ。また、地方交付税交付金が15.5兆円ある。これは、地方公共団体の財源として国税の一部が移転されるものだ。(ただし、近年では地方の財源が不足しているため、さらに借金をして財源を追加している。)
この社会保障関係費、国債費、地方交付税交付金の3項目だけで、歳出全体の4分の3近くを占める。そして、残りの4分の1程度の歳出で、文教、科学振興、公共事業、防衛といった政策に充てる経費を賄っている。歳出構造が極めて硬直化しているといえる。
他方、歳入に目を向けると、税収が54.5兆円、その他の収入5兆円で、これらで全体の約6割だ。残りの約4割に当たる36.9兆円を国債発行で賄っている。収入の4割を借金に頼っているというのは、かなり不健全な状態と言わざるをえない。そして、その負担は将来に先送りされているのである。
だが、これでも実は、1年前、あるいは2年前の予算と比べると、歳入の内訳はだいぶ改善されている。2年前、2013年度の当初予算では、歳入の半分近くを国債に依存していた。
この改善の主な要因は、2年間で税収が10兆円以上増えたことだが、その半分以上は、消費税率が2014年4月に3%引き上げられたことによる増収である。消費税率引上げは財政の健全化のために重要な役割を果たしているが、他方、未だ歳入の多くを借金に依存する状況が続いているのも事実だ。
そして、単年度の「フロー」の比較では前年度より改善しても、債務の累積という「ストック」の面では悪化が続いている。2015年度末における国債残高は807兆円に上ると見込まれており、地方と合わせた「長期債務残高」は1000兆円を超える。公的債務残高の対GDP比は主要先進国中最悪であり、それは、金融資産をネットアウトした「純債務」ベースで見ても同様だ。
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