[瀬尾温知]【予断許さぬヤンキース田中の肘】~球団・監督・本人の意向は合致するのか?~
Japan In-depth / 2015年4月5日 23時0分
ヤンキースでは日本人で初めてとなる開幕戦のマウンドに田中が登板する。現地6日(日本時間7日の午前2時過ぎ)に、ニューヨークの本拠地で行われるブルージェイズ戦で、右ひじの状態が不安視される田中のシーズンが始まる。この記事が掲載される頃には「田中 開幕戦勝利投手」なる文字が躍っているかもしれないが、その結果が出る以前に記したことを前置きしておく。
去年7月、田中のひじに異変が起きたあと、チームドクターを含め3人のスポーツ整形外科専門医の診断は、断裂は10%程度と軽度で、トミー・ジョン手術(注1)は必要ないと一致したため、手術は行わずにPRP療法(患者の血液から採取した多血小板血漿を局部に注射して回復を促進させる治療)を選択。リハビリ後、昨シーズン終盤に復帰を果たした。
右ひじ靭帯の部分断裂が発覚する前の7月初旬までは12勝3敗、防御率2.27と上々の出来だった。今年のオープン戦は4試合で14回2/3を投げて防御率3.07と、2年目のシーズンへ向けて順調な仕上がりを見せていたので、「エース田中」は必然だった。
気掛りは右ひじの状態で、「いつかはトミー・ジョン手術に踏み切らなければならない」と、復帰までに1年以上を要する手術への決断を迫る声もあがっている。かつての名投手・ペドロ・マルチネスは、オープン戦での田中の投球を見て、「速球を投げるのをためらっている。1年を通して健康でいられるとは思えない」と、右ひじの状態に懐疑論を述べた。
PRP療法を2008年に受けた元メジャーリーガーの斎藤は「劇的に良くなることはなかった」と語っているが、翌年から2年連続で56試合に登板し、いずれも防御率2点台と堂々たる成績を残して活躍を続けた好事例がある。
ヤンキース首脳陣は先発ローテーション6人体制を検討しており、田中への負担を極力減らそうとしている。通常はシーズンを先発5人で回すが、1人増やすことで登板間隔を開け、ひじに疲労がたまらないように細心の注意を払う配慮をみせている。
2年連続でプレーオフ進出を逃しているヤンキースの前評判は低く、田中以外の先発陣で期待できるのはピネダだけで、サバシアの復活や新加入・イオバルディの台頭は望みが薄い。リリーフ陣では、抑えのベタンセスとセットアッパーのミラーはある程度の計算が立つが、中継ぎが脆弱なので6回、7回に弱点がある。打線もオープン戦でチーム打率2割4分4厘と30球団中28番目の低アベレージ。戦力不足が露骨なヤンキースの命運は、田中がシーズンを通して活躍できるかどうかに委ねられている。
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