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[瀬尾温知] 【ブラジル人3人目のメジャーリーガー誕生】~海を渡って10年目の快挙~

Japan In-depth / 2015年4月14日 18時0分

[瀬尾温知] 【ブラジル人3人目のメジャーリーガー誕生】~海を渡って10年目の快挙~

ブラジル人3人目のメジャーリーガーが誕生した。ロイヤルズのパウロ・オルランドが、現地9日のホワイトソックス戦に8番レフトで先発出場してメジャーリーグデビュー。海を渡ってから10年目の29歳でMLBプレーヤーになる夢をかなえた。
金属細工師だった父と病院の清掃員として働いていた母が家計を助ける家庭で育ったオルランドは、サンパウロでの少年時代に日系人に混じって野球を覚えていった。特技は走ることで、18歳のときに出場した世界ジュニア陸上競技選手権大会で、200mで21秒10を記録している。

その3年後にリオデジャネイロで開催されることになる2007年のパンアメリカン競技大会へ向けてトレーニングを続けた。ちょうどその時期、陸上の傍ら野球の試合にも出場していたところ、メジャーリーグのスカウトの目にとまり、アメリカの野球界に連れて行かれることになった。

2005年にホワイトソックスと契約。19歳だった。マイナーでプレーしたあと2008年にトレードでロイヤルズに移籍。長い下積み生活が続いた。俊足で強肩のオルランドの弱点は打撃だったが、昨シーズンはマイナーリーグで136試合に出場し打率.301、6本塁打63打点34盗塁と成長をみせ、その年のマイナーリーグ・オールスターゲームにも選出された。今シーズンのスプリングトレーニングでも47打数15安打9打点と首脳陣にアピールし、10年目にようやく開幕ロースターの25人枠を勝ち取った。

ブラジル人として初のメジャーリーガーになったのは2012年にデビューしたヤン・ゴームス(27)。現在はインディアンズの正捕手として活躍している。2人目は2013年に初登板したアンドレ・リエンツォ(26)。2年間で28試合に登板、そのうち21試合に先発して6勝をあげた。今シーズンはイチローが在籍するマーリンズへ移籍。マイナーリーグでシーズンを迎え、メジャー昇格を目指している。オルランドは同郷の年下の選手に先を越されても、「夢を諦めることはなかった。学ぶことが多かったから」と、ベースボールに専心した。

そしてデビュー戦。本拠地・カンザスシティのファンの前に立ったオルランドは第2打席、先発左腕ダンクスの低めのカーブを振り抜いて左中間を破った。陸上競技で鍛えた自慢の俊足を生かして一気に到達した三塁ベース上で、ヘルメットを両手で二度叩いて喜びを表し、ベンチに向けて胸を張った。

「そうは見えなかっただろうけど、すごく緊張していた」と、大観衆の前で打席に立った感想を試合後に語った。ベンチに届いたメジャー初安打の記念ボールは、ベネズエラ出身の捕手ペレスがスタンドに投げ入れるしぐさをして、からかっていたが、「Yeah, he does that.(そういうことするんだよ)」と頬をゆるめた。

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