[Japan In-depthチャンネル ニコ生公式放送リポート]【戦場ジャーナリストは何故必要か】~情報の受け手にも覚悟が必要~
Japan In-depth / 2015年4月18日 11時0分
ISILによって殺害された後藤健二氏のジャーナリストとしての活動が注目されている。その反面、自己責任論も叫ばれている。本日のゲストはイラクやアフガニスタン等、数々の戦地を取材しているフォトジャーナリストの久保田弘信氏。後藤氏と同じフリージャーナリストとして、想いを語る。
久保田氏が戦場ジャーナリストに足を踏み入れたきっかけは“ひょんなことから”と表現するのが相応しいかもしれない。もともと久保田氏は、海外旅行専門のスチルカメラマンだった。東南アジアでの撮影でパキスタン人と知り合い、アフガン難民の話を聞いて、97年ごろアフガニスタンを訪れた。そこで、自らの国を追われている人たちの生活を、毎日子供が死んでいく状況を目にした。
この惨状を写真で伝えられないかと思ったのが、戦場ジャーナリストになるきっかけだったという。発表の媒体を探すのは難しかったが、2001年には写真展を開いた。そしてその直後、9.11が起こり、テレビ局が接触してきてワイドショーに出るようになった。「友人がいるところが戦争をしている。行かなくては」と再び戦場へ戻ることを決め、その際にTBSから映像を撮ってくるよう頼まれたという。
久保田氏は、イラク戦争のときも現場でカメラを回していた。バグダッドが砲撃されているとき、トマホークが真上を通過していくホテルに泊まっていた久保田氏は「これ以降(起こることが)ないような戦争」とその凄まじさを表現した。
久保田氏が撮った写真をいくつか紹介してもらった。中には、後ろの方にISILの兵士が写っているものや、クルド人の女性兵士が写っているものもある。クルド人兵士が大勢写っている写真を見ると、彼らの制服や武器がバラバラであることに気づく。武器が足りないため、彼らは中古市場で武器を仕入れているという。戦地のど真ん中に行かなくてはわからないことを、久保田氏の写真が教えてくれる。
久保田氏は「戦地に行くには、覚悟がある」と強い口調で語った。流れ弾に当たる危険もあるが、特に誘拐には注意をしているという。危険地域に入るのは皆嫌がるため、通訳の値段も跳ね上がるが、必ずつけなければ危険だ。トルコ国境では、声を掛けてきたガイドに(自分自身がテロリストなどに)売られるということもあるので、「自分が知っていて、大丈夫という人しか使わない」と久保田氏は語った。慎重に慎重を重ねている。
今回の報道について、久保田氏と安倍編集長は、テロリストの肉声や後藤さんと湯川さんが跪いている映像を繰り返し流す日本のテレビ局に怒りを感じているという。久保田氏は「日本のメディアは彼らのプロパガンダに乗っかっている。テロリストの肉声をながすというのは欧米のメディアはやらない」と、世界を恐怖で震撼させるという彼らの狙いに加担していることを批判した。
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