[岩田太郎]【「鉄ちゃん」運転士、故意にカーブ前で速度上げた?】~米・列車事故 続報~
Japan In-depth / 2015年5月15日 23時0分
米ペンシルベニア州フィラデルフィア近郊で5月12日に発生した全米鉄道旅客輸送公社(アムトラック)の列車脱線事故の死者は8人に増えた。米運輸安全委員会(NTSB)の事故調査は、幼少時から鉄道マニアだったブランドン・ボスティアン運転士(32)が脱線場所の急カーブ前で、故意に制限速度を大幅に上回る加速をしたのかに焦点が移った。
もしわざとであれば、3月24日に149人の乗客・乗員を道連れにして、ドイツ格安航空会社ジャーマンウィングス9525便をフランス南東部のアルプス山中に意図的に墜落させたアンドレアス・ルビッツ副操縦士(享年27)による計画的な大量道連れ殺人事件を彷彿とさせる事件になるだろう。
事故列車は制限速度が時速80キロメートルの現場に差し掛かる前の1分間に、速度を時速110キロから時速170キロまで上げたことが判明している。これがボスティアン運転士の手動操作によるものか、別の原因によるものなのかが関心の的だ。運転士や車掌は、減速すべき地点を熟知しているものだという。因みに同運転士は、脱線直前に緊急ブレーキを作動させたが、列車は曲がり切れずに脱線した。
ボスティアン運転士は頭部を15針縫うケガを負い、足も負傷した。彼の弁護士は、「私の顧客は列車を運転していたこと、カーブに差し掛かったこと、そこでスピードを落とそうと意図したことは覚えているが、ブレーキをかけたことは覚えていないと語った」と発表している。携帯電話は、「規則通り、かばんに収納していた」という。
こうしたなか、ボスティアン運転士の私生活に関する情報が明るみに出て、各メディアは競うように報道している。それによると、テネシー州メンフィス郊外で育った彼は幼少時から鉄道マニアであり、「ブランドンの名を聞けば、鉄道が思い浮かぶ」と中学・高校時代の親友が回想するほどだった。大学卒業後の2006年にアムトラックの車掌になって夢を実現し、2010年には運転士に昇格した。
ルビッツ副操縦士のように、「頼り甲斐がある」「賢い」など、友人の話からは良い評判しか聞かれない。注目されるのは、彼に活動家的側面があったことだ。2008年には当時の配属先であるカリフォルニア州の同性愛婚禁止の住民投票に反対の声を公に上げ、同性愛支持の立場でメディアのインタビューなどにも応じている。
さらに、自身の一番の関心事である鉄道の安全について、Trainorders.comやFlyertalk.comなどのウェブの鉄道マニア向けフォーラムに、ハンドルネーム「bwb6df」を使い、活発に投稿していた。2009年には列車運転士の長時間労働が「疲労につながり、重大なミスや脱線転覆、負傷事故につながる恐れがある」と指摘していた。
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