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[Ulala]【仏、中学教育改革で議論沸騰】~学力低下と格差拡大対策~

Japan In-depth / 2015年5月20日 18時0分

[Ulala]【仏、中学教育改革で議論沸騰】~学力低下と格差拡大対策~

日本では関心度が高い大きな戦いが一つ終わったところだが、今、フランスではある女性を中心に大きな戦いが始まっている。ナジャット・ヴァロー=ベルカセム国民教育・高等教育・研究大臣によるフランス「中学改革」だ。

現在の教育内容の変更を伴う「中学改革」は、多くの教師を混乱させ、親達による反発の嵐が吹き上がることが明白。そのため改革がうまく行く可能性は低い上、失敗すれば確実に大臣辞職に追い込まれるのは必須だろうと言われている。

歴代の大臣はそういったリスクを避けてきており、リオネル・ジョスパン氏が行った「新教育基本法」いわゆる「ジョスパン法」の後、この25年ほど中学に対する改善が行われてこなかった。しかし現在のフランスは、その「ジョスパン法」が必要とされた時代の問題点であった「国家競争力低下」と「失業率の高さ」という2つの構造的脆弱性に再度悩まされており、経済発展を促すために国民の平均的な教育レベルを上げることが重要課題とされているのだ。

各国の学力を垣間見る方法としてフランスでもOECDのPISAがよく取り上げられるが、2012年の学力テストの結果をみると、フランスは数学25位、読解21位、科学26位と言う散々な結果であることが見て取れる。ちなみに日本は年々学力が落ちていると言われているが、数学7位、読解4位、科学4位だ。残念ながらフランスの子供の教育レベルは両親など知識レベルや収入に大きく左右され、教育格差が日本より大きく、平均値ではよい結果は出ないのだ。

その格差が生まれる理由の一つは、フランスの公立中学校の授業数の少なさも関係している。公式の授業日数を見てもすでに3週間ほど日本より少ないが、それだけではなく、フランスの公立中学の授業は教師の病欠、スト、研修を理由に、かなり頻繁に休講になるのだ。しかも数日の休講では代替えの先生も派遣されない。それらの休講数は年間で約60時間以上にもなることもある。60時間と言えば、約2週間分の授業が無くなるということだ。

しかし授業数が少ないのは事実なのだが、実はフランスは日本に比べて学校から出される宿題の量が多く、宿題で勉強量がカバーされてきた。OECDの調査によると2012年の日本の平均宿題時間の週3.8時間で、それは2003年とほとんど変わっていない。それに対してフランスは2003年には宿題に週6.8時間も費やされていたのだ。

しかし、その宿題の時間も年々減少しつつある。2012年には週5.1時間に減り、更に現在は週4時間程度を目指しているところだ。理由としては子供に負担が大きいと言うことと、親が宿題の面倒を見ることのできない家庭があり、格差につながるということだが、結果、宿題量でカバーされていた総合的な学校の勉強量も減ることになり、塾もほとんどないフランスの環境では、反対に親による指導も含む自主的な勉強の重要性が増している。

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