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【ケイトリン・ジェンナーの告白が示すもの】~トニー賞にみるLGBTQと女性のプレゼンス~

Japan In-depth / 2015年6月10日 19時37分

【ケイトリン・ジェンナーの告白が示すもの】~トニー賞にみるLGBTQと女性のプレゼンス~

先日、ケイトリン・ジェンナーが飾ったセレブファッション誌VanityFairは、2つの観点から話題となりました。一つはもちろん勇気あるトランスジェンダーの告白。そしてもう一つは、いまだに根強いステレオタイプ的な女性像です。この2点に関して、自らをQueer(注1)と表す演劇仲間と話し、ブロードウェイにおけるジェンダーに対する革新と根深い固定観念を実感しました。


アメリカでのトランスジェンダーは、マスメディアレベルでの認知・理解はあるものの、家族や友達等コミュニティの中で受け入れてもらえている人は非常に少なく、カミングアウトは勇気がいることだそうです。更に驚いたのが、Trans-Woman(誕生時に性別が男性だった人が自らのアイデンティティを女性として転換すること)を告白することは、Trans-Man(その逆)よりも世間の目が厳しいということです。


マスメディアで圧倒的に多く見るのは、美しく変身したTrans-Woman。しかし、「敢えて」弱い立場の「女性」になることを選んだとみられ、実際に生きていくのは難しくなると言います。更に、ケイトリンのように「美しく」がキーポイントとなり、ホルモン投与や手術等の高額費用を払えるマスメディアに登場するセレブで無いと険しい道のりだそうです。


70年代からフェミニズム運動があるにも関わらず2015年になってようやく初の女性大統領候補が生まれたアメリカの「ヒーロー=英雄=男性」、それを影で支え美しく飾り「救いを求めるヒロイン=女性」像というステレオタイプなジェンダーロール(性別の役割)は根深いといいます。


この意味で、昨年と去年のトニー賞は革新的でした。昨年最多4つのトニー賞を受賞した『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』は、誕生時は男性だったヘドウィッグが女性ハンセルとなりロックバンドシンガーとしての人生を描いたものです。主演男優賞と主演女優賞を両方獲得し、男性シンガーとして男性音域を歌う女優と女性シンガーとして女性の音域を歌う男優の圧倒的な演技力が評価されました。


そして、今年最多5部門を受賞した「ファンホーム」。これは、4つの点で画期的です。



・トニー賞史上初の女性コンビ、リサ・クローンとジャニーン・テソリがミュージカル脚本賞・オリジナル楽曲賞・ミュージカル作品賞を受賞したこと


・主人公が男性的なレズビアンであること


・題材がゲイである父親と自分のアイデンティティに苦しむ子供の話であること


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