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[イ・スミン]【韓国を襲ったMERSの恐怖】~地に堕ちた政府に対する信頼~

Japan In-depth / 2015年6月14日 7時0分

政府はMERSの発生地である中東の事例だけを見て「感染力が比較的弱い」と推測し、初期の防疫を徹底しなかった。又、感染の推定される範囲を狭く指定したり、患者ごとの発病の原因を明らかにする疫学調査を中途半端にしたりしたのが代表的な失策だ。

患者の数は幾何級数的に増えており、市民たちの恐怖はそれよりさらに早いテンポで広がっている。最初の感染者は38人にMERSを移した。彼らの中で2人の患者が“スーパー散布者”になって感染を拡大し、6月13日午前11時基準、確実にMERS罹患者として診断された人は138名だ(死亡者は14名)。このように全国に広がったMERSに対する恐怖は簡単に収まらない見通しだ。これは国民との間に不信の壁を築いてしまった政府の無能のせいだ。

文亨杓(ムン・ヒョンピョ)保健福祉部長官をはじめ、MERSの拡散を阻止しなければならない責任を負った疾病管理本部側は、最初に患者が出た5月20日から今月7日まで関連した病院のリストを隠してきた。政府は、関連性がある病院のリストが公開されれば、患者たちの訪問が減って病院の自発的な感染者の発見や報告が不定的になると説明したが、ウイルスが広がる速度はもっと早いという批判が殺到した。

また、感染が疑われる人を施設に隔離する代わりに「自家隔離」というずさんな方法を選択して、感染の可能性がある人と生活圏を共有する住民たちにMERSに感染する可能性を残した※5。一部では患者が入院した病室に家族や友達が訪問する韓国の“お見舞い文化”と一部の大型病院に全国の患者が集中する傾向などがMERSを拡散させたとの指摘もあるが、1次的な責任はどこまでもMERSをみくびった政府にあると見なければならないだろう。

泥縄の対応に終始した政府は、地域社会への拡散が現実のものとならないようにすると国民に約束した。最近、政府はプライバシーの侵害だという批判にも関わらずMERS患者の動線、居住地などを公開したのもこのためだ。

しかし、その後も政府関係者は「新型インフルエンザの時と比べて(MERSの流行は)小さな状況だ」とか「防疫の目標を達成できなかったのは事実だが、全体的に失敗したわけではない」と事態の深刻さを軽視する発言を続けている。すでに地に堕ちた政府に対する信頼がいつ回復できるか心配になるほどだ。多分、その答えは政府よりMERSウイルスが握っているようだ。

※1  2012年サウジアラビアで初めて発見された後、中東地域で集中的に発生したウイルスで、2003年アジアで発生した後、全世界に広がり、800人近い死者を出した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群)と類似したウイルスだ。 潜伏期が1週間程度でSARSと同様に高熱、咳、呼吸困難など、深刻な呼吸器症状を引き起こす。

※2  今月(1~8日)に入って韓国の代表的な大型スーパーであるイーマートの全店の売上は前年同期比8.7%減少したが、同社のオンライン・モールは45%増えた。

※3 韓国観光公社より。中国人の観光客は1万7650人、台湾人2万2600人、日本人1万3520人順。

※4 当時、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は積極的な防疫に取り組む、危機管理システム新設しており、SARS感染者4人、死亡者0人という結果を導き出した。(全世界/感染者8,100人、死亡者774人)

※5 実に隔離が必要な疑い患者のうち、何人かは自分勝手にゴルフをしに居住地を脱するやまたは海外旅行に出かけることも発生した。

トップ画像/大田市役所近くの薬局で直接に撮影したもの、“手指消毒剤やマスクありません”という内容が書かれている

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