[文谷数重]【ケネディ・翁長会談は無駄ではない】〜翁長氏、プレイヤーとして急浮上?〜
Japan In-depth / 2015年6月21日 19時0分
■ 工事を止めたあとが勝負
おそらく、翁長知事はいずれ工事を止めさせる。方法は行政的な許認可でも、手続きでも、現地や街頭での行動でもいくらでもある。それで工事が停滞すれば、米側も「もう辺野古に作れない」と判断する。そうなると、日本の現内閣による「辺野古整備は順調」といった建前は崩壊し、それを元にした辺野古問題でのイニシアティブを喪う。
そうなれば、翁長知事はプレイヤーとして、日米政府の話し合いに当事者として参加させるべきといった話となるだろう。あとは、沖縄問題と、海兵隊問題を切り離して処理するだけである。沖縄米軍基地に抑止力があるのではない。海を挟んだ中国への抑止力は、嘉手納の米空軍・米海軍で担保されている。陸上戦力にすぎない普天間の米海兵隊は価値はない。仮に沖縄米軍の抑止力を108とすると、消費税以下である海兵隊が持つ分は、そのうちの1・2にも満たない。
辺野古での混乱を放置することで「地元感情・県民感情を逆撫でし、嘉手納も危うくすべきか」といった判断も、いずれ米側に出てくる。あとは海兵隊を処理すれば良い。日本にとって駐留していてほしい戦力でもないし、米政府、米軍全体としても日本や沖縄に置かなければならない戦力でもないといった切り分けとなるだろう。
■ 米軍も切り崩せる
この意味で、今回の翁長知事の行動は無駄ではない。今後も「辺野古は作らせない」といって、折にふれて関係者を回るべきだ。特に、米軍も相手にすべきである。具体的には米太平洋軍や在日米陸海空軍の司令部にも行くべきだ。これらの司令部は軍令のみ、軍政のみと性格はさまざまだが、嘉手納の重要性や、横須賀、横田、佐世保の安定使用にも関心が深い。
それにより、海兵隊の政治益に過ぎない普天間・辺野古問題について米軍内部からも海兵隊を掣肘する効果が見込めるだろう。実際に米五軍の中で、軍政面で海兵隊は評判はよくなく、浮いている部分も多い。予算は一緒の海軍は距離を取りたがっており、陸軍は辟易しており、空軍は近づきたくない様子は窺えるのである。
※「沖縄知事 “移設中止” 米大使 “唯一の解決策”」『NHK NEWSWEB』(日本放送協会,2015.6.19)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150619/k10010120321000.html
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