[渋谷真紀子]【全米で同性婚合法に。法律に追いつけ意識改革】~“Love is Love!”ブロードウェイミュージカルの力~
Japan In-depth / 2015年6月29日 23時0分
2015年6月26日、アメリカの教科書に残る歴史的な日となりました。最高裁が全米の州で同性同士の結婚を合法とし、異性同士の結婚と同じ権利を取得する為の闘いは、1972年から数々の裁判が行われ、2015年にようやく勝利をおさめました。6月のPride Month(注1)を締めくくる最高のニュースです。ジョージ・タケイさん(注2)がFacebookでパソコンから虹が飛び出る投稿をされていたように、私の投稿フィールドも勝利への歓喜で埋め尽くされました。「自由」「人権」「平等」を掲げるアメリカだからこそ、「I’m proud of being here!」という投稿が多くありました。
私が住むボストンのあるマサチューセッツ州は、2004年に全米で初同性結婚が認められました。その為、同性のパートナーの人と結婚をする為に、ボストンに引越してきた人も多く、通っていた大学院を始めとし、演劇関係でLGBTQのコミュニティの人達と接することも多くありました。同性愛者の複雑なリアリティを描く演劇作品を観る機会も多く、LGBTQのアイデンティティを持つ若者が自らの体験を舞台化して学校公演を行うことにより、幅広い若者に正しい理解を促すTrue Colorsという劇団は全米でも知られる存在となっています。友人の1人は、有名なスヌーピーのパロディ作品 “Dog Sees God : Confessions of a Teenage Blockhead” で、ゲイのアイデンティティに苦しみ自殺したベートーベン(チャーリーブラウンのキャラクターの1人)の話を通じて、ゲイの自殺撲滅運動を行っていました。
一方で、結婚することはできても、就職や住居の面の実生活での平等は、まだまだこれからというのが実際です。演劇教師の友人は、同性同士で結婚しているものの、働いている学校ではオープンにできていない(教員だけでなく、保護者の反応もあり、解雇されるリスクがある為)と話していたり、住居も安全を考慮して周りにLGBTQの人達が住んでいるところを探していたり、日常生活では気を使いながら暮らさなければならないといいます。50年程前に人権運動が最大化してから取り組まれてきた、黒人差別やその後の女性の人権運動に関しても、制度が整った後に日常生活の平等に関しては、まだ実現しているとは言い切れません。
この日常的な意識改革を促す為に、マスメディアは大きな役割を果たします。演劇でも、マスメディア並に大きな影響力のあるブロードウェイはLGBTQの歴史を変えてきました。ブロードウェイを中心とした演劇の情報サイトPlaybillやBroadway.comには、念願の勝利!と今年トニー賞主演女優賞を受賞したケリー・オハラや昨年トニー賞ミュージカル賞に輝いたトランスジェンダーの作品「ヘドウィッグ・アンド・アングリーインチ」を創り出したジョン・キャメロン・ミッチャル、トニー賞最多受賞女優オードラ・マクドナルド等の大物俳優たちが次々と祝福を発信しました。
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