[鈴木潤]【集団的自衛権の行使は合憲である!その1】~砂川判決を踏まえて~
Japan In-depth / 2015年7月3日 11時0分
国会では集団的自衛権の行使の合憲性を巡って激しい対立が続いています。報道では違憲のスタンスを採るものが多いようですが、果たしてそうでしょうか。私は、少なくとも政府案の範囲であれば、集団的自衛権の行使は合憲と考えています。
そもそも集団的自衛権は、国際法上、個別的自衛権と共に、各国に「固有の権利」(国連憲章51条)とされていて、わが国にも当たり前に認められているものです。国際法上、当たり前に認められている権利について、国内法で制限をかけるのであれば、国内法の中にはっきりとその根拠がなければなりません。したがって、ここで示されなければならないのは「集団的自衛権の行使が禁止されることの国内法上の根拠」で、「集団的自衛権の行使が認められることの国内法上の根拠」ではないと考えられます。
こうした考え方に対しては、「武力の行使は憲法9条で禁止されていて、自衛権はその例外として認められるものだから、やはり集団的自衛権を認めるためには国内法上の根拠が必要だ」という反論が来そうです。しかし、この反論は、何が原則で何が例外かを見るときに国内法の枠の中だけで検討している点で問題があると思います。
集団的自衛権は国際法上の権利ですから、出発点(何を原則と見るか)は国際法で集団的自衛権がどのように位置づけられているかに置くべきで、そこからわが国の国内法でどのような取扱いをしているのか(例外を作っているのか)へと進んでいくべきと考えられます。
さて、集団的自衛権の禁止の根拠として候補になるのは、憲法9条です。憲法9条が自衛権についてどう考えているのかは、砂川事件の最高裁判決で示されています。注目したいのは、最高裁が、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されていない」と言った上で、これを踏まえて「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然」と言っていることです。
初めに書いたように、国際法上、各国は「固有の権利」として、個別的自衛権と集団的自衛権を持っていますから、最高裁がいう「国家固有の権能の行使」の中に個別的自衛権だけではなく、集団的自衛権も含まれていると見ることは十分可能です。
実際、最高裁は、「国家固有の自衛権」と繰り返すのみで個別的自衛権と集団的自衛権を全く区別しておらず、その「国家固有の自衛権」は、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な範囲」であれば、憲法9条の下でも当然認められるとしています。
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