[神津多可思]【日本経済は新しいフェーズに入るのか?】~非製造業の景況感が改善中~
Japan In-depth / 2015年7月6日 23時0分
今や人口に膾炙(かいしゃ)した「アベノミクス」。そのコンセプトが唱えられてから約2年半が経とうとしている。この間、ポジティブな評価、ネガティブな評価、いろいろあった。今、ちょっと落ち着いて全体を眺めてみれば、日本経済の現状は、ベストではないが、2年半前と比べれば明らかに状況は明るいと思う。
確かに2年で2%のインフレにはならなかった。原油安という予想外の出来事があったにせよ、物価調整のスピードがこれまでかなりゆっくりだったことは否定できない。しかし、平均的な物価が下落し続けるという状況ではなくなった。
2014年度の経済成長率はマイナスだった。それは消費税増税の影響が予想以上に大きかったからだ。だからと言って景気後退に入ったわけではない。これからの財政再建の山の高さを思えば、ここで頑張って消費税増税をして、何とかその山を乗り越えることができてよかったとも言えるだろう。
今年の4~6月の経済指標は必ずしも良くなかった。金融・財政政策の効果が薄れているとの声もある。しかし、米国の経済成長率が期待したほどは高くならないことや、中国経済が引き続き減速しているという状況では、人口が減少する日本の国内経済だけで力強い成長を遂げるというのはもともと無理がある。
それでも、人手不足もあって賃金は次第に上昇している。消費税増税の山を乗り越えたので、賃金が増えれば消費にも好影響が出るだろう。企業収益も高水準だ。国内の設備投資がなかなか盛り上がらないと言われてきたが、月初に発表された日銀短観では、今年度の設備投資計画は全体で3か月前に比べ1割弱上積みされている。とくに一番早く動くと言われている大企業・製造業では、1年のこの時期としては、かつてないほどの上方修正となっている。
また、非製造業の景況感が改善しているのも足元の特徴の1つだ。とくに中小企業・非製造業は裾野が広く、このセクターに経済環境の好転の影響が及ぶかどうかが景気実感の面からは重要だ。少し長い時系列で、大企業・中堅企業・中小企業を合わせた全産業の短観・業況D.I.の推移をみたのが上図だ。※トップ画像参照
業況判断D.I.とは、現在では1万社を超える短観の対象企業に、全般的な業況に関する判断を聞き、「良い」、「さほど良くない」、「悪い」の3択から選んでもらって、それぞれの回答割合をパーセントで出し、「良い」の割合から「悪い」の割合を引いて求めるインデックスだ。こうした単純な計算による指標だが、景気の動きをビビッドに追うことができる。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
日本の解き方 日銀「12月短観」を徹底分析 大企業・非製造業の先行き悪化、原材料の価格上昇が景況感に影 中小企業の人出不足は記録的水準に
zakzak by夕刊フジ / 2024年12月19日 11時0分
-
県内企業の景況感 2期連続で改善
ABS秋田放送 / 2024年12月14日 11時43分
-
大企業・製造業の景況感、市場予想に反し小幅に改善=12月日銀短観
ロイター / 2024年12月13日 11時30分
-
製造業の景況感、小幅改善 大企業、非製造業は2期ぶり悪化
共同通信 / 2024年12月13日 10時30分
-
日銀短観、景況感3期ぶり悪化か 大企業製造業の予想集計
共同通信 / 2024年12月10日 17時11分
ランキング
-
1女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
212月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
3ローソン、東京など一部店舗で販売する“氷”を自主回収へ ガラス片混入の恐れ
日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 20時51分
-
4昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
5なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください