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[須藤史奈子]【全編iPhoneで撮影された映画が凄すぎる】~トランスジェンダー2人が主人公 “Tangerine” ~

Japan In-depth / 2015年7月12日 7時44分

[須藤史奈子]【全編iPhoneで撮影された映画が凄すぎる】~トランスジェンダー2人が主人公 “Tangerine” ~

7/9(木)ニューヨーク・リンカーンセンターにて、映画「Tangerine(タンジェリン)」の特別上映会が劇場公開に先立ち行われた。ニューヨークタイムズ紙で絶賛されたこともあったのか、会場は満席。内容は、ロスのウェストハリウッド地区を舞台に、トランスジェンダー(この映画では、生まれは男性だが外見は女性)の二人が織りなすスタイリッシュなコメディーだが、リアルで魅力的な登場人物と甘く切ない友情が心に残る良作だった。

主演のマヤ・テイラーには早くも「トランスジェンダー初のオスカー賞候補」という声もあがっており、また、アメリカ全州で同性婚が合法になったばかりということでも話題性たっぷりなのだが、この作品が全編iPhone 5sで撮影されたということにも注目が集まっている。

高性能のビデオカメラが安価になって「誰でも映画が撮れる時代」といわれるようになってから久しいが、何せiPhoneである。今や「iPhone映画祭」が開催される時代にはなったが、ここで重要なのは、監督はアマチュアではないということだ。これが5本目の長編映画、テレビドラマも数多く演出してきたショーン・ベイカー監督、44歳。脚本、カメラ、監督、編集全てをこなせる筋金入りの自主映画監督だ。

iPhoneを使ったのは話題作りのためだと思っていたのだが、聞いてみたらそうではなかった。「もしお金があったら35ミリのフィルムで撮ったよ。予算がない中どうやって撮ろうと考えて、苦肉の作だったんだ。」逆に、iPhoneで撮ったことは当初は言いたくなかったそうだ。実際、もし言われなければiPhoneで撮影したとは分からなかっただろう。ワイドスクリーンを撮影するために付属のレンズをつけ、フォーカスをロックできるアプリを入れ、編集で様々なフィルターを駆使して、独特な色彩の映像美を作り出している。



iPhoneを使ったのは色々な意味で成功だった、とベイカー監督はいう。「主演の二人は今回が映画初出演だったんだ。普通だとカメラに慣れるのに時間がかかるものだけど、iPhoneを使ったおかげでそれが全くなかった。それから、映画の撮影をしてると集まってくるギャラリー、それが皆無だった。誰にも気づかれないから人止めをするスタッフがいらなかったよ。バスの中でさえ誰も気付かなかったしね。」結果的に自然な日常を切り取ることが可能になり、ドキュメンタリーを見ているようなリアリティーを醸し出している。

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