[清谷信一] 【国連加盟がナンセンスなわけ】~安全保障論議の前に 2~
Japan In-depth / 2015年7月20日 23時0分
憲法解釈云々は言葉遊びにすぎない。我が国では1票の格差が、数倍も異なっても、最高裁は「違憲状態」だが違憲ではない。故に行われた選挙は有効だという奇妙な解釈を「発明」した。恐らくは「違憲」とすると、政治的な混乱を有むから、事態を忖度しての「発明」だろう。
そもそも論で言えば、現行憲法を素直に読めば軍隊とほぼ同じ機能を持つ自衛隊の保有自体が違憲であり、いかなる国境紛争にも武力を使用することは禁じられている。現憲法は占領軍が作ったものであり、米国は我が国が二度と逆らわないように武装解除のまま置き、もし日本が危機に陥れば「保護国」たるアメリカが日本を守ればいい。つまりフィリピンと同じような状態に置けば宜しいと考えていたからだろう。
独立国から永遠に自衛力を奪うというのは国際法的にみても、外交的にみても極めて異常であり、同じ敗戦国だったナチス・ドイツにはこのような無法は強要されていない。根底には人種差別的な思想があったのだろうと言われても仕方あるまい。
ところが朝鮮戦争が勃発するに至って米国は手のひらを返したわけだ。本来であれば占領下に押し付けられた、国家主権を制限する憲法は国家の主権を侵害しており、「憲法違反」である。つまりは自己矛盾である。
更に申せば、現行憲法下では事実上の集団安全保障組織である国際連合に加盟ができないはずだ。日本国憲法は紛争の解決に武力を用いることを禁じているが、国連憲章は禁じていない。国連憲章第42条には、
「安全保障理事会は、第41条(注:非軍事的措置)に定める措置では不十分であろうと認め、又は不十分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる」
とある。更に、以下のような条文もある。
第45条
「国際連合が緊急の軍事措置をとることができるようにするために、加盟国は、合同の国際的強制行動のため国内空軍割当部隊を直ちに利用に供することができるように保持しなければならない。これらの割当部隊の数量及び出動準備程度並びにその合同行動の計画は、第43条(注:特別協定)に掲げる一又は二以上の特別協定の定める範囲内で、軍事参謀委員会の援助を得て安全保障理事会が決定する」
第46条
「兵力の使用計画は、軍事参謀委員会の援助を得て安全保障理事会が作成する」
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