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[細川珠生]【国民投票、どちらに転んでも交渉は続く】~山田厚史氏に聞く、ギリシャデフォルト危機の行方~

Japan In-depth / 2015年7月26日 11時0分

[細川珠生]【国民投票、どちらに転んでも交渉は続く】~山田厚史氏に聞く、ギリシャデフォルト危機の行方~

元朝日新聞編集委員のジャーナリスト山田厚史氏を招き、世界中から注目されているギリシャのデフォルト危機について聞いた。

ギリシャの財政は悪化し、政府機能は急激に弱まっている。借金をしなくては立ち行かない状態だが、EUはギリシャが借金を返済しないとこれ以上は貸さないと主張し、ギリシャがデフォルトに陥る可能性が出てきた。そして5日、EUの要求である財政緊縮政策を受け入れるのかを問う国民投票が行われる。

借りたお金を返すというのは、当たり前のように聞こえるが、「ギリシャの言い分は『返せと言っても返せないからしょうがないだろ』ということ」だと山田氏は説明し、安易に打開できる状況ではないことを示唆した。

ギリシャ国民が緊縮策を受け入れなかった場合、交渉は続くのか。山田氏は、「ギリシャは、まだユーロ圏からは出て行きたくない。ギリシャは自分のところのお金ではやっていけない。」と話し、いきなりデフォルトになるとは限らないことを示した。公務員等の給与や年金を払うためにはユーロが必要だが、ECBがギリシャにこれ以上ユーロを発行しないとなると、経済は大混乱に陥ってしまう。

山田氏は「ギリシャの資金繰りくらいは出すだろう。」と予想するが、一方で「そうはいっても十分なお金はない。しかも、ギリシャ人がお金をどんどん引き出すと銀行にお金がなくなる。産業に金が流れなくなって、だんだん経済が縮こまっていく」とも述べた。ギリシャ政府がユーロの代わりに債務証書を出すことも考えられる。「それはつまり、ギリシャが新しく通貨を発行するということであり、ユーロを辞めてドラクマになるかもしれない。」と山田氏は述べた。

「このような国民性を持った国がEUに参加していること自体が、ユーロ体制の問題なのではないか」と細川氏が指摘すると、山田氏は「特段ギリシャの国民性が変わっているとは思わない。ただ、本当にギリシャが入って良かったのかということになるとどうだったのか。」と疑問を呈した。EUの発想は、「皆が一体化すると平和になる」というものからスタートしている。山田氏は、EUについて「第一次・第二次世界大戦をくぐりぬけてヨーロッパがたどり着いた理想だったが、自由貿易になってしまった」と話し、そこに問題を見出した。

例えば今までは、ドラクマの価値が下がれば、物価が下がるため観光客が増えて、ギリシャ経済は持ち直す、という循環が生まれた。「通貨は国と国との競争力を調整する機能がある。ゴルフでいうとハンディ。要するにユーロになるとハンディゼロ。生真面目で良く働くドイツとゆったりしているギリシャが同じ条件になり、ギリシャの金がドイツに吸い上げられている」と山田氏は指摘する。ユーロになってお金借りられるようになったが、そのお金で公共事業やって逆に失敗してしまった部分もある。

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