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[Japan In-depth 編集部]【LGBTの権利と社会的結束】~ザルツブルグ・グローバルセミナー、杉山文野氏に聞く~

Japan In-depth / 2015年8月1日 23時34分

とはいえ、日本ではまだトランスジェンダーが職場でカミングアウトする事自体スムーズに行く訳ではなく、結局、性別移行を済ませた上で過去の事を伏せたまま就職せざるを得ない例が多いようだ。

それに加え、トランスジェンダーが性転換手術を行う際、手術休暇の必要性や手術前の不安などの相談がし易い職場環境や、回復後に職場復帰ができる環境と理解がまだ不足していると杉山氏は指摘する。これではいくら優秀な人材でも就職先の選択範囲は狭い。

こうした中、ダイバーシティに注目している企業が増えつつある。2011年から学生向けにLGBTリクルーティングイベントを開催している金融企業の大手、ゴールドマン・サックスでは新入社員向けのLGBT研修も実施している。研修はセクシュアル・マイノリティーの人々が働き易いように職場環境を整える為であり、当事者達だけではなく、同時にストレートの社員をも教育するといった意図がある。IBMもグローバル・ビジネスには不可欠な「ワークフォース・ダイバーシティー(人材の多様性)」を重視した姿勢と取り組みを発信している。両社とも外資系ではあるが、トヨタ自動車、ソニー、日産、ソフトバンク等、LGBTをサポートする日本企業は間違いなく増えている。

セクシュアル・マイノリティーが働き易い環境や周りの理解と知識が一般企業の間でも促進すれば、カミングアウトはし易くなり、当事者達は仕事のパフォーマンスも発揮できるのではないか。スタッフが離職してしまうことを少しでも防げれば、企業側のコスト削減にも繋がるはずだと杉山氏は述べた。

もう一つ注目すべきは、LGBTマーケットに向けた商品開発のアプローチである。例えば、携帯電話の家族割引プランを同性カップルにも提供する、ティファニーの婚約指輪の広告に同性カップルモデルを起用する、といった案だ。国内人口の7.6%を占めるLGBTのコンシューマー層をターゲットにしたマーケティングにより、大きな経済効果が期待できると、杉山氏は指摘した。

最後に杉山氏は、LGBTが抱える社会的ストレスによる精神疾患と医療費の問題を上げた。社会の知識と受け入れ体制がまだ乏しいことから、当事者達のメンタルヘルスが懸念される。社会の知識とケアを改善することにより、メンタルヘルスにかかる医療費削減も後に経済効果に繋がるという見方だ。

加えて、正しい知識を社会に提供するには学校教育が重要だと杉山氏は述べた。残念ながら教科書の改定は10年に1度というサイクルの為、その実現はまだまだ先の話になりそうだが、今後LGBTの問題を教科書で扱うのは必須だという。教育する必要があるのは子供達だけではなく、その親や学校も含めての事だ。

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