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[文谷数重]【新護衛艦名「かが」は中国を刺激する】~新護衛艦まもなく命名・進水式~

Japan In-depth / 2015年8月22日 11時0分

[文谷数重]【新護衛艦名「かが」は中国を刺激する】~新護衛艦まもなく命名・進水式~

24DDHを「かが」と名付けると、どうなるだろうか?

新しい護衛艦が8月27日に命名・進水式を上げる。「いずも」型ヘリ空母の2番艦であり、これまでは「24DDH」と予算上の名称で呼ばれていたが、船体完成により護衛艦として命名され、進水する。その艦名は今は秘されているが、規定により「大和」や「武蔵」といった律令制での旧国名(実際には、大国と上国の国名)を名付けられる予定である。

 

■「かが」は中国を刺激する

だが、艦名によっては中国(そして台湾)を刺激する可能性もある。特に「かが」=「加賀」を選んだとすれば、日中で多少のトラブルともなるだろう。

実際に「加賀」は選ばれる可能性が高い。武勲艦であり、空母として共通する名称である。このため24DDHに襲名しやすいためだ。

だが、中国にとっては日本の侵略を想起させる艦名である。同艦は日華事変での日本海軍の代名詞であるためだ。第一次・第二次上海事変に参加しており、民国海軍研究家の河井丈侍さんによれば「加賀」は中国から「悪魔艦」と呼ばれていた。

しかも、1番艦の「いずも」=「出雲」との組み合わせもよくない。「出雲」は支那派遣艦隊旗艦であり、中国侵略での、海軍の尖兵でもあったためだ。「出雲」と「加賀」の組み合わせは、特に中国に不要な刺激をあたえるものとなるのである。

 

■他に武勲艦もない

もちろん、海自には中国を刺激しようとする発想はない。仮に「かが」を採用したとしても、単純に伝統を継承し、武勲艦に倣いたいといった素朴な感情しかない。

逆に海自としては、「他を探せ」と言われても困る。旧国名の軍艦は良い艦名はない。そもそもが、戦争中であまり役に立たなかった戦艦の名前のためだ。旧日本海軍は、中国を刺激するなといった観点から、揚子江警備用の砲艦「勿来」つまり「(中国人は)来るな」といった意味にも取られかねない艦名を改めたことがある。無難な「安宅」に改名したものだ。だが、DDHは旗艦クラスの護衛艦であり、旧国名で武勲のあるふさわしい艦名となると、選択の余地はそれほどはない。

実際に、旧国名の軍艦には武勲艦はなく、あまり幸運とは呼べない経歴も少なくない。「加賀」同様に戦艦から空母に転用された「信濃」は、作戦行動に従事せず国内疎開の段階で沈んだ不遇な艦名であり避けたい艦名である。「陸奥」は爆沈の記憶と、厄介者となった原子力船「むつ」との前例から、これも避けたい。「大和」と「武蔵」は申し分はないがとっておきである。

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