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[安倍宏行]【テレビ局の岐路、今ここに】~ネットフリックスを視聴して~

Japan In-depth / 2015年9月12日 11時0分

[安倍宏行]【テレビ局の岐路、今ここに】~ネットフリックスを視聴して~

これはHuluの強敵になる。ネットフリックス(Netflix)を視聴して真っ先に感じた感想だ。

特に、オリジナル作品が豊富なのがネットフリックスの特色だろう。まずは初めての日本のテレビ局(フジテレビ)との共同製作ドラマ、「アンダーウェア」と「テラスハウス」を視聴した。多くの視聴者をリアルタイム視聴に引き戻したTBSの大人気ドラマ「半沢直樹」は別にして、地上波のテレビドラマは総じて低調だ。かつてのように視聴率20%超えという作品はめったに出ない。

テレビドラマを見なくなって久しい筆者も、テレビドラマを定額制動画配信サービス(SVOD=Subscription Video on Demand)で見るのは少しばかり新鮮だ。まず、CMが入らないから話が途切れることがない。また、マルチデバイス対応だから、家ではPCで、通勤途中ではスマホやタブレットで視聴できる。筆者のようなテレビを見なくなった層をテレビコンテンツに引き戻す効果はありそうだ。

一方で、これは諸刃の剣である。ネットフリックスのオリジナルドラマを日本の視聴者が見ることが出来るようになったからだ。その一つが、「デアデビル(daredevil : 向こう見ず、無鉄砲などの意)」だ。たかがアメリカンコミックの実写版と侮るなかれ。シーズン1(13話)が初日から配信されたが筆者などは一気に全話見てしまった。それくらいクオリティの高いドラマなのだ。単なるヒーローアクションものではない、人間の持つ邪悪な心とそれに相対峙する正義。親子の愛憎、同僚との友情・信頼など、人として誰しもが一度は直面するシーンが複雑に絡み合う。見ていると自分の生き様に匕首を突き付けられたかのように魂を揺さぶられる。大げさかもしれないが、そのくらい完成度の高いドラマである。

製作費もかなりのものだろうが、こんなオリジナルドラマを自前で作られた日には、日本の民放ドラマがとんでもなく貧弱で薄っぺらいものに見えてくる。どこかで見たようなストーリー、学芸会のような素人俳優(俳優とは呼べないかもしれないが)の演技。あまりに残念で泣けてくる。これではやがてネットフリックスのような米・動画配信サービスに主導権を奪われ、日本のテレビ局は下請けに甘んじる時が早晩くるのではないか。杞憂であって欲しいが、そんな不安を抱かせるのに十分なくらいネットフリックスのオリジナル作品群は強烈だ。

何もオリジナル作品はドラマばかりではない。ドキュメンタリーも骨太だ。その一つ、「ホットガールズウォンテッド (Hot Girls Wanted)」を見た。世界中で大人気のネットポルノ女優の私生活を追った作品だ。ネットポルノ製作のメッカ、フロリダのとある個人経営エージェントに密着した作品だ。

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