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[林信吾]【アリとキリギリスと新自由主義】~高度福祉国家の真実 9~

Japan In-depth / 2015年9月18日 11時0分

これも再三紹介している「サッチャー革命」だが、今では、むしろ中産階級の人たちから怨嗟の声が聞かれる。サッチャー政権の理念とは、大胆な規制緩和と民間活力を生かしての経済活性化を目指す新自由主義であったが、この結果、格差が拡大したとまでは、よく言われる。

日本では「勝ち組、負け組」と言われる二極化の構造だが、実際問題として、勝ち組になれる人など、ほんの一握りだ。地道に働いて貯蓄に励んできた人たちは、より安い賃金で働く外国(人)労働者との競争にさらされ、実質賃金が目減りした結果、住宅ローンや子供の学費が払えなくなるなど、没落の道をたどったのである。

美辞麗句やタイギメイブンは、今更どうでもよい。真面目な納税者が損をするような政策は、断じて正しくない。世に言う「サッチャー革命」に対する私の評価は、これに尽きる。

(この記事は、
【最後は国が本当になんとかしてくれる、のか?】〜福祉先進国の真実 1〜
【英、無償の医療は当然の権利】〜福祉先進国の真実 2〜
【実は高福祉・高負担な英国】〜福祉先進国の真実 3〜
【英、医療の進歩が財政のネックに】〜福祉先進国の真実 4〜
【英、無償の医療は「クラウンジュエル=家宝」】〜福祉先進国の真実 5〜
【英、定年後切り詰めれば年1回海外旅行】〜福祉先進国の真実 6〜
【ニートはれっきとしたイギリス英語】〜福祉先進国の真実 7〜
【見えない社会保障、支える力失った日本 】~高度福祉国家の真実 8~
の続きです。あわせてお読みください)

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