[Japan In-depth 編集部]【「フェアトレードタウン」名古屋市誕生】~市民の意識改革が今後の課題~
Japan In-depth / 2015年9月20日 11時0分
「みんなでやろみゃあ、フェアトレード!」会場に響き渡る声。声の主は河村たかし名古屋市長だ。上機嫌なわけは、名古屋市が19日、「フェアトレードタウン」の認定を受けたからだ。
そもそも「フェアトレード」とはなんぞや。それは、途上国の原料や製品を適正な価格で購入し、その国の人々の生活の改善や自立を目指していくことをいう。例えば、チョコレートの原料となるカカオの生産の現場では、一部で子どもたちが不当に過酷な環境で働かされているという現実がある。それを公正な価格で取引することによって、継続的な生産と児童労働を防ぐことになる、という考え方だ。
そして、地域を挙げてフェアトレードを推進している街が「フェアトレードタウン」と認定されることが海外では多くなっている。名古屋市では市民の活動から始まり、今年に入って市議会でこの活動を支持する議決がされたほか、市長も支持を表明。今回の認定に繋がった。国内では、熊本市に続いて2例目の認定で、人口200万人を超える大都市の認定は意義深い。
シルバーウィーク初日の19日、名古屋市中心部で開かれた「環境デーなごや2015」。市民や行政、事業者が環境への取り組みの成果を持ち寄る毎年恒例のイベントで、今年の目玉となったのが、名古屋市の「フェアトレードタウン」認定式だ。式では、一般社団法人「日本フェアトレード・フォーラム」から、名古屋市の河村たかし市長に認定証が手渡された。認定に向けた運動を続けてきた市民団体、フェアトレード名古屋ネットワーク代表・原田さとみさんは河村市長と共に「国際フェアトレードタウンなごや」としての宣言を読み上げた。宣言では、市民一人ひとりの買い物を通じて町ぐるみで運動を推進し、地域の絆を深めることを表明した。
イベント会場では、フェアトレードによるガーナ産のカカオを使用したアイスクリームを製作・販売し、売り上げの一部を東日本大震災の被災地への寄付に充てる活動を展開している愛知商業高校の生徒が、市民らに向けて取り組みへの参加を呼びかけた。又、フェアトレードのファッションに身を包んだトップモデルたちのファッションショーも参加者の人目を引いていた。
「フェアトレードタウン」の活動は、開発、発展、利益、合理化などこれまでの社会の流れとは違い、市民一人ひとりが、自分の生活に直接関係のないことや、考えなくても生活の出来る世界的な問題に対し、いかに思いを馳せることが出来るかということに繋がるものだ。
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