[Japan In-depth 編集部]【ジェンダーにとらわれない多様な生き方】〜セクシュアル・マイノリティについて知ろう〜
Japan In-depth / 2015年9月27日 11時0分
ついに、中学2年後半から不登校、ひきこもりとなり、「自分史における暗黒時代」に突入したという。そして10代後半で回復に向かう中、思わぬ 「アウティング(注2)」被害にあってしまう。夏季合宿で好意を抱いていた女子に告白をしたことが寮内で噂となり院長にまで知られ、「レズは危険」とレッテルを貼られた上、追い出されてしまった。気持ちは「異性」なのに、他者からは「同性愛者」と見られているとわかり、衝撃を受けたと語った。よくある誤解の一例が、「同性愛者は危険」という偏見だ。セクシュアル・マイノリティは性的加害者に仕立て上げられるケースが少なくないという。
また原氏が学生だったころ、同性愛に関する文献が様々出版されており、中には同性愛は「性被害」に合ったトラウマから性的指向が変わるという学者や医者などによる学説も発表された。今はだいぶ知識も進歩したが、これもまた誤解を招いた一つの原因だろう。
不都合なことに、原氏は自身が6歳の時に近所で性被害にあっていた為、当時その学説を読んだ時は、それが原因で自身の性的指向が変わってしまったのか、と考えたそうだ。しかし考え直してみると2、3歳の頃から性別違和感があったことから、やはりそれは事実無根であると再認識した。それでもしばらくは大きな疑問として残っていたという。
原氏はアウティングから受けた衝撃から、20代前半より女性を避けるようになり、性指向や性別の話は極力避けたという。八方塞がりになり悩んでいた原氏は「子供を産めば女性になれるかな?」と思い、25歳の時に男性友達との間に子を授かり、出産した。授乳中はホルモンの影響から女性に近づく体験をしたが、断乳後の身体は子を授かる前の元のものに戻り、性別感覚も以前の様に戻った。そして、その時初めて何かが吹っ切れたかのように原氏は自身のセクシュアリティを自然と受け入れられるようになったと語った。
日本におけるセクシュアル・マイノリティが直面している困難の解決のために必要なことは、
1)当事者たちが安心してカミングアウトできる場を増やすこと(学校、職場、家庭、医療現場などにおいて)
2)社会環境の整備(見えなくても必ずいる、という社会的前提意識)
3)カミングアウトした人を守る「調整役」の育成(教育や研修の深化)
4)公的機関が動く根拠となる法律の整備
正しい知識と教育を全国的に浸透させるにはやはり公的機関の援助は必須だ。しかし現状は、「いま公的機関は動こうと思っても法律がないため予算が取れない」と原氏は指摘し、法律の現状に対し歯痒さを露わにした。
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