[遠藤功治]【米の厳しいNOx規制が引き金】~VWディーゼル車排ガス規制不正問題 2~
Japan In-depth / 2015年10月1日 0時4分
ディーゼル車は当然、軽油を使用します。米国で流通している軽油の大半は、日本で流通している軽油に比べると、硫黄分が1.6倍含まれていると言われます。硫黄分が高いと、排気ガスを浄化する触媒に使用される白金(プラチナ)の劣化を早くする、という難点があります。また若干専門的になりますが、この低品質軽油は“セタン価”が低いため(ガソリンのオクタン価に相当)、着火がしにくく、高温で点火する必要がある、すると“スス(PM)”が多く出でしまう、という難点もあります。
つまり、米国には非常に厳しいNOx規制値が存在し、ディーゼル車は非常に低品質である軽油を使用しなければいけないという、クリーンディーゼル車を発売するにあたっては、なかなか難しい環境があるのです。日本でSKYACTIVエンジンを開発、CX-5やCX-3でディーゼル販売を増やしているマツダが、米国で今だにディーゼル車を販売していない主因の一つが、この問題です。
米国基準をクリアする技術はある、だがこの低品質の軽油の問題もあり、触媒の劣化が早く進む、すると環境基準を長期に渡って維持することが出来ない、耐久性を保つためには、実際の走行中に浄化機能を弱めて(止めて)、触媒を永く持たせる工夫をした、ということが考えられます。
今一つは車輛性能との両立の問題。ハイブリッド車でもありますが、環境性能を最適化するには、車輛の走行性能をある程度犠牲にしないといけない、なかなか両立が難しい、という現実問題です。例えば、EGRを作動させると燃費が悪化、スロットルの応答性が低下する、エンジン出力も低下しトルクが出ない。環境性能にせよ、車輛性能にせよ、全てを完全最適化することが出来ない、全てをカバーしようとするとコストも上昇する。意図的にあちらを犠牲にすることで、こちらを立てる、ということでしょうか。
(本シリーズ全4回、この記事は【VWショック、発端は米国】~VWディーゼル車排ガス規制不正問題 1~の続きで、【日本車メーカーへの影響は軽微】~VWディーゼル車排ガス規制不正問題 3~に続きます)
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