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[小黒一正]【軽減税率導入は撤回しても問題ない】~給付付き税額控除も含め総合的判断を~

Japan In-depth / 2015年10月4日 11時0分

与党は25年度税制改正大綱で「税率10%への引き上げ時の軽減税率導入をめざす」と打ち出してから、2年以上にわたって複数税率による軽減税率制度の導入を検討してきた。29年4月の増税時には、今回の財務省案のように、消費者の負担軽減という軽減税率の趣旨が損なわれる措置ではなく、本来の軽減税率制度を導入することを求める。あわせて、わが国の民主主義と文化の基盤となっている新聞(電子媒体を含む)については、知識への課税は最小限度にとどめるという社会政策上の観点から書籍、雑誌等とともに軽減税率を適用すべきである。



(引用終了)
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だが、そもそも、軽減税率の検討の発端である「税制改革法」(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律)第7条では以下のように記載されている(下線は筆者)。

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(引用開始)



低所得者に配慮する観点から、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号。第六号において「番号法」という。)による行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する制度(次号ニ(3)及び第六号において「番号制度」という。)の本格的な稼動及び定着を前提に、関連する社会保障制度の見直し及び所得控除の抜本的な整理と併せて、総合合算制度(医療、介護、保育等に関する自己負担の合計額に一定の上限を設ける仕組みその他これに準ずるものをいう。)、給付付き税額控除(給付と税額控除を適切に組み合わせて行う仕組みその他これに準ずるものをいう。)等の施策の導入について、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等を含め様々な角度から総合的に検討する。



(引用終了)
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こちらは「与党合意」と比較して、「法律事項」で重いが、文章から明らかな通り、税制改革法では、低所得者支援として軽減税率のみを想定しているわけでなく、給付付き税額控除なども含めて様々な角度から総合的に検討することを要請している。つまり、軽減税率の導入は撤回しても問題ない。

なお、経済学者も多くが、公平性や社会的コストの観点から、軽減税率は導入するべきでないと考えている。ちなみに、私が軽減税率に反対する理由は以下のコラムの通りである。税制は国家の基盤である。国家百年の計として、公平性や社会的コストといった様々な問題を考慮して、政治は冷静な判断をすることが望まれる。

 

日経ビジネスオンライン:混迷深める軽減税率、導入は絶対阻止するべし!
http://goo.gl/RkrGTv

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