[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【日中関係の行方〜安保法制は何を変える?〜】~古森義久産経新聞ワシントン駐在客員特派員に聞く~
Japan In-depth / 2015年10月9日 7時0分
今月22日から30日、中国の習近平国家主席が訪米し、米中企業リーダー会議や米中インターネット業界フォーラムに出席し、米国連本部での演説も果たした。今回は、ゲストに古森義久氏(産経新聞ワシントン駐在客員特派員、国際教養大学客員教授、麗澤大学特別教授)を招き、中国習近平主席の訪米の成果や、安保法制によって大きな転換期を迎えようとしている日中関係について議論する。
習近平主席の今回の訪米の意図を古森氏は「米中関係が良好なことを示そうとしたものだ」と指摘し、「しかし、今回は良好でありながら競合している米中関係の、競合の部分が前面に出た結果となった。これまで中国に丁重に振舞っていた米国だが、そうした変化の背景には、中国による東シナ海の防空識別圏の拡大や、サイバー攻撃などがある」と述べた。
「TPPも大筋で合意されたが、中国への影響は大きいか」という安倍編集長の問いに対し、古森氏は「中国が世界第二の経済国であるとはいえ、(TPPという)世界最大の貿易ブロックができる影響は大きいはずだ。ただでさえ中国経済が低迷するなか、中国商品が売れなくなり、輸入コストがTPP加盟国に比べ高くなると、国際競争に負けるということになるのではないか」と述べた。
一方「以前と比べて、日本国内でTPPに反対する声が聞かれなくなっているが、実際TPPは日本経済にメリットをもたらすのか」という編集長の問いに古森氏は、「自動車部門などで、日本の輸出が伸びることが、日本経済の根幹を支えることになるだろう。TPPに対する一部の反対のなかには、米国会内でもTPPに対して反対の意見が強いということを知らないまま、まるで米国が一枚岩となって日本の保険・年金分野に攻め込むかのような、事実誤認の反対がある」と指摘した。
日本では安保法制が可決・成立したが、中国はこの事実をどう捉えるのか。古森氏は「中国外交部の報道官は本音を抑えた発言をしていたように思える。これまでの中国が、日米同盟が強まる動きに対し強く反発してきたことを踏まえると、安保法制の成立は中国にとって脅威であると言える。日米安全保障政策により、東アジアの均衡が保たれることを中国は歓迎しておらず、中国は東アジア圏から米国を追い出そうとしている」と述べた。
「今回の安保法制の成立の背景は、南シナ海の基地建設やガス田開発など、世界的にも非難を受ける中国の動きがあると言っても過言ではない。この中国の動きは軽率ともとれるのではないか」という安倍編集長の意見に対し、古森氏は「この中国の動きだけでなく、露によるウクライナ侵攻、イラク情勢の混乱などは、オバマ政権の力が弱まった影響が大きい。日本もそうだが、米国も、中国を刺激しないようにしている」と述べ、米国の世界的な影響力が低下していることを指摘した。
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