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【シリア攻撃で見えたロシアの最新エアパワー】~拡大するその軍事的プレゼンス~

Japan In-depth / 2015年10月9日 11時0分

【シリア攻撃で見えたロシアの最新エアパワー】~拡大するその軍事的プレゼンス~


意外だったロシア軍の精密攻撃


9月30日、ロシアはシリアへの空爆を開始した。2008年のグルジア戦争、2014年以降のウクライナ紛争に次ぐ国外での軍事力行使である。


当初、シリアのラタキアから発進したロシア空軍機は無誘導爆弾を使用しているらしいことがロシア国防省のリリース映像から観察され、「精密攻撃を行っている」とする公式発表との食い違いが指摘されていた。このため、グルジア戦争でのロシア空軍は、西側の精密攻撃には遠く及ばない無誘導攻撃を主に用いたこともあり、ロシアのエアパワーは依然として西側には遠く及ばないのだという観測が広がった。


さらにチェチェン戦争では、ロシア軍は民間人の巻き添えを厭わない無差別砲爆撃を多用したことから、シリア内戦へのロシアの介入はさらなる民間人犠牲者の増大を招くとの懸念も生まれ、実際、筆者自身もそのように推測した(また、その懸念は現在も完全に払拭された訳ではない)。


だが、空爆が進むにつれ、ロシア軍はこれまでにない精密攻撃能力を発揮し始めた。空爆3日目となる10月2日には、ロシア版GPSであるGLONASSで誘導されるKAB-500S衛星誘導爆弾の使用が確認されたほか、レーザー誘導ミサイルKh-29Lも投入されている。


さらに10月7日、ロシア海軍はカスピ海に展開したカスピ小艦隊所属の4隻のコルベットから26発ものカリブル-NK巡航ミサイルを発射し、1500km離れたイドリブやアレッポ周辺の11目標を攻撃した。


カリブル-NKファミリーは対地・対艦・対潜用など様々なバリエーションがあるが、今回使用されたのは射程が2000-2500kmにも及ぶ3M-14対地巡航ミサイルと見られる。やはりGLONASSを使用した精密な航法が可能で、ロシア国防省は誤差5m以内の精密攻撃が可能であると胸を張る。実際、カリブル-NKの性能は米国のトマホークに迫るもので、これだけの長距離精密攻撃が可能な国は今のところ米英中くらいのものである。


また、現時点でシリアへの投入は確認されていないが、ロシアは爆撃機から発射可能な空中発射が巡航ミサイルも実用化しており、これも米空軍のCALCM空中発射巡航ミサイルに匹敵する性能を有すると言われる。ロシアは今回のシリア介入に際して自国南部の基地に少数の爆撃機を前方展開させていると言われ、今後、こうした爆撃機による巡航ミサイル攻撃が行われる可能性も排除できない。


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