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[岩田太郎]【大地震・津波対策よりマリファナ解禁】~これでいいのかオレゴン州 2~

Japan In-depth / 2015年10月13日 7時0分

[岩田太郎]【大地震・津波対策よりマリファナ解禁】~これでいいのかオレゴン州 2~

米西海岸のオレゴン州は、ヒッピーの聖地だ。ヒッピーだけでなく、多くの一般人も大麻を日常的にたしなむためマリファナ産業が発達しており、中学生でも簡単に同級生の「売人」から入手できるほど手軽で身近である。

こうした現実に長らく法律の対応ができていなかったが、10月1日付で嗜好目的のマリフアナ販売が解禁された。ワシントン州、コロラド州に次いで全米3州目である。

年齢が21歳以上であれば、州内およそ200カ所の薬局で、7グラムまで購入可能だ。米連邦法では違法なのだが、オレゴン州は昨年の住民投票で合法化が成立し、すでに7月からは所持や栽培が可能となっていた。連邦政府は黙認だ。

州政府は、解禁に当たって1億ドル(約120億円)以上の予算を計上し、販売・所持・使用が合法的に行われる体制を構築した。地元ラジオ局では、「一家庭につき、大麻草の栽培は4本まで」「使用は、必ずプライベートな場所で」「使用後の運転は控えて」などと、合法化に当たっての注意の広報を繰り返し流している。新聞やテレビも紙面や放映時間の多くを割き、注意を周知させている。

その一方で、来るべきオレゴン大地震についての注意喚起や地震対策は遅々として進まず、予算もお寒い状況だ。オレゴン州の西側は、ファンデフカ・プレートという比較的小さなプレートの上に乗っかっている。北はカナダのブリティッシュコロンビア州から、シアトルがあるワシントン州、ポートランドを擁するオレゴン州を通り、南はカリフォルニア州北部で止まるこのプレートは、北西部カスケード沈み込み帯と呼ばれ、北米大陸の下へ沈み込んでいる。

これが跳ね返り、最大マグニチュード9.2の大地震を起こすのだ。前回は西暦1700年1月26日に起こり、当時海岸沿いで生活していた先住民の集落を地盤崩落や大津波で破壊し、甚大な被害をもたらしたことが各部族の口承で伝えられている。日本にも津波が押し寄せ、大きな被害があったと、現在の青森県から和歌山県にかけての沿岸部の元禄12年12月(旧暦)の文書に記録されている。

次の大地震はいつ来てもおかしくないことが、多くの地震学者によって指摘されている。特にオレゴン州民を震え上がらせたのは、『ニューヨーカー』誌の7月20日号で掲載された「とてつもなく大きい地震」という長文の記事である。破壊規模もさることながら、地震への備えが薄いことが暴露されたからだ。

オレゴン州政府の推計では、州内75%の建物が耐震・免震構造を持たず、大地震に耐えられない。地震でインフラが破壊されると、電力回復は1ヶ月から3ヶ月が必要であり、飲料水と下水の復旧は1ヶ月から1年かかり、寸断された高速道路は半年から1年通行できない。医療施設も多くが壊滅し、完全復旧には1年半が見込まれる。ポートランド港で耐震構造の施設は1カ所だけしかなく、ポートランド空港は地盤が弱く液状化して使い物にならなくなる。このほか、ダム崩壊なども予想され、救難の困難だけでなく、生活やビジネス・貿易ができなくなった同州は人口減、企業逃避と経済崩壊が予想される。

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