[比嘉陽子]【変動相場制に翻弄される世界最貧国】~アフリカ“マラウイ”最新リポート 2~
Japan In-depth / 2015年10月19日 15時0分
外資系企業の商取引により発生した外貨は国外に持ち出され、内陸国であり自国内での生産能力が乏しいマラウイにおいて輸入需要は減らすことができないため、結局国内に残るのはクワチャ価値の低下による輸入費負担増だけであり、これによって引き起こされる経済不況は貧困層の生活に直接的に打撃を与えると反論した。
バンダ氏のもと変動為替制を採用した結果、実際に急激なインフレに見舞われており、石油で30%、交通機関は40%、日用品で50%も価格が上昇し、国民の生活を圧迫している(※)。バンダ大統領は、このインフレを必要悪と認識しており乗り越えなければならない辛い期間だとした。
しかし一方で、ムタリカ大統領時代にすこぶる悪かった欧米各国との関係が改善され、IMFから$157 millionの融資を得ることになる。ムタリカ大統領が大使を国外追放して怒らせた旧宗主国のイギリスや世銀、ADB(アフリカ開発銀行)も次々と援助を再開。こうして、自国の経済力の低下と経済的自立への挑戦と引き換えに、多額の国際援助と援助依存を取り戻すことになった。
しかし、それがなんと束の間で終わってしまったのである。国家ぐるみの大規模な国家予算横領事件(キャッシュゲート・スキャンダル)の発覚により、国家予算の4割を占める国際援助は再度引き上げられたのだ。2014年5月の大統領選挙で当選を掴んだのは、ムタリカ前大統領の実弟、ピーター・ムタリカ氏である。
※MALAWI:Bumpy road to economic recovery http://www.irinnews.org/report/95482/malawi-bumpy-road-to-economic-recovery
(この記事は
【世界最貧国誕生のからくり】~アフリカ“マラウイ”最新リポート 1~
の続きです。
【貧困からの脱却目指す大統領】~アフリカ“マラウイ”最新リポート 3~
に続く。本シリーズ、全3回)
-
-
- 1
- 2
-
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
中央銀行が金(ゴールド)に注目する理由
トウシル / 2024年6月25日 7時30分
-
ジム・ロジャーズ「これからも円安は止まらない」 渡邉美樹氏「昔の1ドル=360円時代に戻る」
東洋経済オンライン / 2024年6月14日 9時0分
-
物価指数が約2年ぶりに下落、外貨準備高は461億ドルに回復(エジプト)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月14日 0時30分
-
円高より「円安」のほうがいいと髙橋洋一が断言する理由 「国内で円安を批判するのは国益に反する行為といえる」
集英社オンライン / 2024年6月10日 16時0分
-
S&P、コートジボワールの格付け見通しをポジティブに引き上げ(コートジボワール)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月3日 0時35分
ランキング
-
1極右が最多得票、過半数迫る=与党大敗へ―仏総選挙・第1回投票
時事通信 / 2024年7月1日 8時43分
-
2英与党、総選挙敗北必至…経済振興・移民対策に失望感「ブレグジット果たしても良くなっていない」
読売新聞 / 2024年7月1日 7時46分
-
3SNSの反日的投稿、中国IT大手が規制 日本人切りつけ事件めぐり
日テレNEWS NNN / 2024年7月1日 11時53分
-
4中国、「反分裂法」違反などで台湾人15人拘束 最高刑は死刑の指針で台湾警戒
産経ニュース / 2024年7月1日 13時14分
-
5アングル:バイデン氏の「大失敗」討論会、背後に側近らの判断ミス
ロイター / 2024年7月1日 13時13分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)