[神津多可思]【グローバル経済の新しいバランス】~日銀は追加緩和すべきか~
Japan In-depth / 2015年10月29日 19時14分
さてそこで日本経済だが、金融市場には日銀の追加緩和を囃す声もある。繰り返しになるが、日本経済が思わぬ不振に陥りそうだというのであれば、金融面、あるいは財政面の追加的措置も正当化される。現状を点検してみると、企業収益はなお高水準だし、日銀の9月短観をみても企業の設備投資意欲は後退していない。家計についても、実質雇用者報酬は今年度に入りようやく増加に転じ、そのプラスの影響が個人消費に出て来るのであれば、それはこれからと言える。物価面をみても、足元では昨秋来の原油価格等の急速な下落の影響が強く出ているが、一次産品価格は今年に入ってからは上下しつつも下げ止まりつつあり、したがって前年比でみれば下押しの影響が次第に薄れていく可能性もある。
今、日本経済は果たして尾根道から転げ落ちて思わぬ経済不振に陥ってしまいそうなところに来ているのか。日本には、先進国の中で財政赤字縮小の展望が一番はっきりしておらず、米欧に比べ追加措置の将来コストについて不確実性が高いという負い目もある。それも勘案した上で、追加的な金融財政政策による経済下支えが、いつ、どこまで必要か。ここが思案のしどころだ。
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